米経済の不確実性、イラン攻撃で高まるPhoto:Joe Raedle/gettyimages

 米国がイランを爆撃し、同国とイスラエルの紛争に直接関与したことで、ただでさえ不透明な米国経済の見通しに新たな不確実性が加わった。

 最近の米国の政策や世界情勢の激しい動きによって、エコノミストや消費者は混乱している。イランによる米軍基地への報復攻撃のわずか数時間後、イランの体制転換がまだ話題に上っていた23日夜に、ドナルド・トランプ米大統領はイランとイスラエルの停戦合意を発表した。

 トランプ氏のくるくる変わる関税措置や、大規模な抗議行動を招きホテル業界や農業界を動揺させた移民強制送還に加えて、地政学上の激しい動きが起きている。企業は関税やコスト上昇への懸念などから雇用のペースを大幅に落としているが、大規模な人員削減は行っておらず、失業率は低水準にとどまっている。米経済のかじ取り役である連邦準備制度理事会(FRB)でさえ、事態の行方や利下げすべきかどうかを巡り意見が分かれている。

 監査・税務・コンサルティング会社RSMのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏は「米経済の状況を説明しろと言うなら、それは『不透明感のまん延』だ」と述べた。「今は考慮しなければならないリスクがあまりにも多い。どの方向に本当に向かっているのかさっぱり分からない」

 スタンフォード大学のニック・ブルーム教授(経済学)は、経済に関する人々の心理状態を示すニュース記事の数を基に、米国および世界における経済の不確実性を追跡する指数を監視している。この数値はここ数カ月で急上昇し、長期間の平均の4倍に達したという。

 ブルーム氏は「イランの紛争はこの種の不確実性にぴったり当てはまる。経済と政治に関するあらゆる場面が政治的・経済的な不確実性から影響を受けているようだ」と話した。