4月は、入学式や入園式、入社式等々、新たな門出の季節です。例年なら、明るい話題満載の季節なのでしょうが、経済状況が厳しい中にあっては、なかなかそうもいかないようです。書店に行っても「未曾有の金融危機」、「金融破綻」など衝撃的な文字が目に飛び込んできます。サブプライム問題以降、世の中ではすっかり、「金融」が“悪者”になってしまいました。

 でも、経済が疲弊している今だからこそ、経済システムが円滑に機能するよう潤滑油の役割を果たし、血液の巡りをよくすることで可能性の芽(細胞)を活性化させる、そんな「金融」本来の役割が求められているのではないでしょうか?もし、既存の金融システムが十分に機能しなくなっているのであれば、新たな仕組みを考えていくことが必要なのかも知れません。

アーティストを支援する
「音楽系金融ベンチャー企業」とは?

 そこで今回は、金融機能を生かした新しい事業を模索する、「音楽系金融ベンチャー企業」をご紹介したいと思います。「音楽系金融ベンチャー企業」とは、何とも不思議な響きですよね。でも、「音楽を生業とし、その事業目的を達成するために、資金を集める仕組み(金融機能)を自ら構築した企業」と言えば、少しはイメージしていただけるでしょうか?

 ミュージックセキュリティーズ株式会社は、2001年に設立されました(*1)。この会社では、ミュージシャンの創作活動を資金面で支援するため、ファンの人たちが小口で投資、支援できるような証券化業務を行なっています。「小口投資」「証券化」・・・何とも怪しい言葉が出て来ましたが、決して怪しいものではありません。

 その仕組みとは、まず、CDデビューをしたい、またはさせたいアーティストの発掘を行ないます。そこで、デビューのために必要な資金をポンと出してくれるような投資家や音楽プロダクションが見つかればよいのですが、現実はとても厳しいものです。

 そこで、音楽をweb上で実際に聴いてもらい、そのアーティスト、楽曲をデビューさせたい、応援したい、と思う人たちがいれば、1口5000円から出資をしてもらう(インターネット上で決済が可能)、そんな仕組みをつくったのです。

お気に入りアーティストが「証券化」でCDデビュー?! ファンが支える「音楽ファンド」とは?
2004年のデビュー以来、8本の音楽ファンドを活用する「AK-69」。テレビ出演などメジャーシーンで活躍するようになった今でも、インディペンデントであるためにファンからの資金を元にした音楽ファンドを活用している。  (C)ミュージックセキュリティーズ
お気に入りアーティストが「証券化」でCDデビュー?! ファンが支える「音楽ファンド」とは?
◎「音楽ファンド」のスキーム  (C)ミュージックセキュリティーズ