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地球温暖化と食料危機にはこれしかない! 『ミドリムシ』に人生を賭けた、ある社長の物語

世界で初めて食品としての大量培養に成功(株式会社ユーグレナ)

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第13回】 2009年5月13日
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 昨年の今頃は、洞爺湖サミットの前ということもあり、「経済か、それとも環境か」、みたいなことが話題になっていたように思います。

 でも、この議論は、経済が元気であってこそ成り立つもので、経済が元気をなくしている現在は、対立の構図というよりも、むしろ「環境に経済再生の糸口を求めている」という状況ではないでしょうか。今や、環境は時代の要請であり、そこにビジネスチャンスが存在するというのは、必然的にも思えます。

 ひと頃話題になった「勝ち組」「負け組」という議論も、当時勝ち組と言われた人たちが元気をなくしている今日では、もはや過去の議論かも知れませんね。白黒はっきりつけたがる二者択一的な議論は、一般的にとかく好まれるものかも知れません。

動物と植物の中間微生物
「ミドリムシ」に秘められた可能性

【図1】ユーグレナ
大きさは、長さ30μm~50μm、幅10μm。鞭毛を使い、動き回る。緑色は、葉緑素(クロロフィル)の色。

 皆さんは、「ユーグレナ」という言葉を聞いたことがありますか? ユーグレナは、地球上で現在発見されている唯一の、動物と植物の中間的な微生物です。一般的には、水田などに生息する「ミドリムシ」といった方がイメージ出来るかも知れません。

 ユーグレナは、成長の過程において、熱帯雨林の数十倍とも言われる速度で、地球温暖化の原因とも言われている二酸化炭素を吸収・固定化することで注目されています。

【図2】ユーグレナの二酸化炭素吸収量
※1:独立行政法人森林総合研究所より
※2:株式会社ユーグレナの実験結果より

 また、ユーグレナは、動物と植物の双方のバランスのよい栄養素を兼ね備えていることから、食料問題の観点からも注目されています。

 でも、「植物と動物の中間体」といわれても、白黒はっきりせず、何とも曖昧で、イメージしづらいかもしれません。

 小学校の理科で習った通り、植物は光と水と二酸化炭素で光合成をして成長します。植物は自分で動けないため、光合成可能な環境であれば成長しますが、そのような環境にない場合は成長出来ません。一方動物は、環境適応可能な場所を求めて自分で動くことが出来ます。

 もちろんユーグレナも、(植物として)成長するために光合成可能な場所を必要とします。しかし一方で、ユーグレナは動物でもあるため、生育可能な環境を求めて自分で動くことが出来ます。そんな植物と動物の機能を兼ね備えた微生物なのです。

「ユーグレナが世界を救う!」
学生時代に抱いた確信

 今や、地球温暖化問題や食料問題から注目されているユーグレナですが、その歴史は古く、発見されたのは1675年のことでした。しかし、培養することは非常に難しく、2005年に日本のベンチャー企業が世界で初めて、食品としての大量培養に成功しました。それが今回ご紹介する株式会社ユーグレナです。

 この会社の出雲充社長は、食料自給率の問題や農業生産性の向上などを学ぶため、東京大学農学部に進学しました。大学時代(2000年)に初めて授業でユーグレナのことを知り、増殖速度が速く、栄養豊富であることから、「この微生物が、世界の食料問題解決の一助になる」と確信したそうです。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
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