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FRB量的緩和縮小加速懸念で
米景気回復でも原油下落の公算

芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員]
2014年3月12日
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 米国では、寒波の影響がエネルギー市場や経済全般に及んでいる。米国の寒冷度合いを見る際に便利な指標として、NOAA(米国海洋大気局)が作成している暖房度日(HDD:Heating Degree Days)がある。暖房度日とは、その日の気温がカ氏65度を何度下回ったかを累積加算した数値であり、暖房需要の発生を見るために作成されているものだ。

 今年3~4月が平年並みの気温で推移するなどと仮定して、冬季の暖房度日を試算すると、20年以上ぶりの厳冬を示す数値となる。近年で厳冬であった2001年や03年を上回り、1977~79年や82年に比肩しそうである。

 米国では暖房用エネルギーの主流は天然ガスであり、天然ガス価格が高騰している。夏場まで100万BTU(英国熱量単位)当たり3ドル台半ばで推移していた米国の天然ガス価格は、2月中旬には6ドル超にまで上昇した。

 また、北東部では約4分の1の世帯が暖房油を主な暖房燃料としており、暖房油の価格も寒波によって押し上げられている。天然ガス価格の高騰を受けて、発電分野などでは燃料を重油にシフトする動きも出ている。

 このように、厳冬によって石油製品の需要が増えるため、原油価格も押し上げられている。

 加えて、厳冬は、米国の経済活動を抑制する。それゆえFRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策にも影響を及ぼす。12月や1月の雇用増加数は、市場の見方を下回っており、FRBによるテーパリング(量的緩和の縮小)が緩やかなペースにとどまるとの観測を強めた。テーパリングが緩やかにとどまるとの観測は、リスク資産全般の買い材料とされ、この面でも原油価格を押し上げる材料になった。

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