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米国の影響力低下とロシアの脅威にどう向き合うか?
「新冷戦構造」で日本を悩ますウクライナ情勢雑感

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第317回】 2014年3月11日
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すでに一国の問題ではない
複雑なウクライナの国内事情

 足もとでウクライナ情勢が緊迫している。ウクライナの情勢がこれほど複雑化すると、それはすでにウクライナ一国の政治問題ではなくなる。同国の問題に関連するロシアやEU、さらには米国など世界の主要国を巻き込んだ、国際的な政治問題に発展している。

 問題が拡大する過程で、関係を持つ各国の利害や対応姿勢が明確になりつつある。政治情勢の門外漢である経済専門家の目を通して、今目の前で起きていることを整理してみたい。

 今年1月、親ロシア政権を率いてきたウクライナのヤヌコビッチ前大統領が、拡大するデモを押えきれずに権力の座から去った。その後、同国では親EU政権が誕生し、ウクライナの国民がロシアとのつながりに「ノー」を突きつける政変が成功したと思われた。

 しかし、ウクライナを巡る情勢は、それほど単純ではなかった。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの安全保障や地政学的な重要性を考えて、同国への関与を強める姿勢を示した。それに対して、EUや米国はウクライナに親EU政権が誕生したことを歓迎し、ロシアの関与を強く牽制する方針を明確にした。

 ところがプーチン大統領は、米国のオバマ大統領などの警告を無視して、クリミア半島へのロシア軍の侵攻を命じた。いかにもプーチン流の力の論理の実践だ。警告を無視された米国は、面目丸つぶれとなった。

 オバマ大統領は、直接プーチン大統領に対して電話で猛抗議をしたようだ。それでもプーチン大統領のスタンスは変わらず。米国の影響力低下が一段と鮮明化した。

 今回のウクライナの政変は、国民が新ロシア政権を打倒して、親EU政権を樹立したという単純な構図ばかりとは言えない。もともとヤヌコビッチ前大統領は、EUに対する無償支援などの交渉を行っていた。つまり、必ずしも最初から親ロシアではなかったのだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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