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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

アメリカで1000万人を超える
インディペンデント・コントラクターは日本に普及・定着するか?

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第35回】 2009年9月29日
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 JAL問題の解決に当たり、政府は事業再生の専門家5人に特別タスクフォースの結成を依頼した。日本では、今回のタスクフォースのように、個人が各場面に応じて持つ名刺や肩書きを変えて仕事をする形は定着していないが、アメリカではプロジェクトベースでさまざまな会社の名刺を持って仕事をする働き方が広く定着している。それらはインディペンデント・コントラクター(Independent Contractor:IC)と呼ばれる人たちであるが、その数はアメリカでは1000万人を超えると言われている。

カメレオン名刺で企業内部の人間となる

 ICをあえて日本語に訳せば、独立業務請負人というニュアンスである。たとえば、人事のプロである個人が、ある企業の人事プログラム改善プロジェクトに1年間携わることとなり、その1年間はそのクライアント先の社員のようにふるまう形だ。その会社にデスクを持ち、毎日出社し、名刺もその会社のものとなる。もっとも、常勤でなくとも週に数日という非常勤の勤務体系などでも可能である。

 一般的に、企業が人事コンサルタントと係わるときは、コンサルタンティング契約を結び、あくまでも外部のアドバイザーとして雇う形が多い。しかし、外部の人はあくまで外部の人であり、できることには限界がある。しかし、ICの形態だと、人事コンサルタントは外部の人ではなく内部の人となるためより問題を見つけやすくなり、改善策を施す際も企業内部の人間の理解を得やすいというメリットがある。

 実際、上記JAL特別チームの5人のうちの1人は元産業再生機構代表取締役専務で、現在は経営共創基盤代表取締役CEOを務める冨山和彦氏であるが、この経営共創基盤が企業に対する事業再生や事業効率化のコンサルティング業務を行う際は、スタッフをクライアント先に派遣し、スタッフはクライアント先の名刺を持って行動をする形式を取っていることが多いと聞く。経営共創基盤の社員として外部アドバイザーとして存在するのではなく、あくまでクライアントの一社員になりきることで適切な経営改善策を発見し施すこととなる。まさにIC的な関わり方、働き方ということになり、経営共創基盤はICである専門家集団ということになる。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。

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