40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全#7Photo:Tfilm/gettyimages

かつては“限られた専門職のための資格”と思われていた米国公認会計士(USCPA)が、今ミドル層のリスキリング手段として脚光を浴びている。監査、経理、財務、コンサルティング――幅広い業務に対応でき、グローバル展開する企業からの評価も高い。取得者の多くがキャリアアップや年収増につなげており、「英語×会計」のスキルセットが企業内外での評価を押し上げる。30~40代、さらには50代での再挑戦も珍しくない。特集『40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全』の#7では、日米の公認会計士のコスパ・タイパの違い、取得後のキャリアアップの実例などを通じて、USCPAという選択肢の実力を徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)

40代からの挑戦でも十分間に合う!
Z世代の7割が知らない「USCPA」の実力とは?

 都市銀行に勤めていた40代男性の佐々木さん(仮名)は、あるとき米国の各州が管轄する会計士資格である「米国公認会計士(USCPA)」の取得を目指した。そのきっかけは、米国現地法人での監査時に資格の有無を問われた悔しさからだ。

 内部監査人としての成長と体系的な会計知識の習得を目的に挑戦し、見事合格。その後、佐々木さんは信託銀行の役員まで上り詰めた。資格取得で監査業務の幅が広がり、転職にも有利に働いた。

 また、40代女性の田中さん(仮名)は、20代後半で「税理士」と「社会保険労務士」を志し、税理士科目に合格した。会計事務所で勤める中、不動産証券化や国際業務を通じて会計知識や英語力の必要性を痛感。USCPA取得を決意し、合格を果たした。

 会計の視野や英語力が広がり、実務にも直結。USCPAは国際的な実務に生かせる広範な知識を得られ、専門家に限らずビジネスパーソンにとっても有益な資格だと田中さんは実感している。

 ミドル層のリスキリングは日本社会にとって重要なテーマだ。大企業では30歳前後で幹部候補として選抜されるかどうかが分岐点となり、選抜されなかった人材は、社内でのチャンスを失い、会社からの期待値が下がる可能性がある。そのまま40代に突入すると、社内外でのキャリアの展望が狭まってしまう。

 早期退職制度やジョブ型雇用が進むなか、30~40代のうちにリスキルしておくことが、それ以降のキャリアを大きく左右する。

 そこで今、ミドルの間で注目されているのが、USCPAだ。国際的に高い評価を受けている専門職資格の一つで、日本の「公認会計士(CPA)」に相当する。ただし日本の会計士と異なり、経理・財務職や内部監査などの実務職への汎用性が高いことが特徴だ。

 30年前にUSCPA学習プログラムを開設し、日本での合格者のうち約8割を輩出しているアビタスの取締役事業推進本部長である中澤匠氏は、「英語力と会計知識を兼ね備えた人材として、グローバル企業や外資系企業で高い評価を受けている資格だ」と話す。

 ただし、日本国内でUSCPAの認知度はまだそれほど高くなく、知る人ぞ知る国際資格だ。事実、同社がZ世代の学生500人(関東圏在住の18~25歳)にアンケートを取ったところ、約7割が「名前も知らない」と回答している。

 次ページ以降では、CPAとUSCPAの違いについて、必要な学習時間(タイパ)や学習方法、資格が生かされる場面などについて具体的に伝授していく。また、実際にUSCPAを取得した人がどれだけ稼げているのか、CPAと比べてどれだけ費用対効果(コスパ)がいいのか、といった資格の実力についても解説していく。