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CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代

「上司の男性から理解を得られない女性の企画」という課題

CHORDxxCODE [リサーチ/エンジニアリングユニット]
【第2回】 2014年3月31日
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女性が使う製品は女性が開発する。そのほうがユーザの理想を叶えやすいだろうとは、誰もが考えるはずだ。前回紹介した事例も、女性が使う製品の技術イノベーションに、技術を理解する女性が関与して成功した例である。ただ、女性が関わるといっても、開発の全工程を女性が行うというのではなく、男性との協働である。開発の工程を、「問題発見」「技術的理解」「プロトタイプ製作」「大量生産」の4段階に分けると、そのうち女性だけが担当したのは「問題発見」の工程で、それ以外はすべて協働だった。(文/CHORDxxCODE 久保友香)

 たとえば近年、多くの技術系企業で、女性だけで構成される「女性チーム」が誕生している。ほとんどの場合、女性が使う製品の企画チームとして、女性の視点で新たな「問題発見」をする機能を持つようだ。しかし、このような女性チームの方々とお話をする機会があるのだが、こういう声をよく聞く。「せっかく女性チームで相談して提案することも、結局上司の男性から理解が得られないことが多い」と。協働体制をとるといっても、企業内でそう簡単に成功させられるものではないようだ。

 女性チームによる提案が、上司の男性に理解されづらい原因としてまず考えられるのは、提案の伝達手段である文字や言葉の使い方だ。女性チームが何か問題を発見したとする。しかし、その問題を企画書の中でプレゼンテーションしていく過程で、男性にうまく伝達されないのである。男性では発見できなかった女性ならではのユニークな問題発見だったとしても、それが伝わらない。女性の感性的な問題意識は、論理的な文字や言葉では表現しづらいことが多いのだ。

 同じような経験は、私たちのような研究者組織でもある。たとえば工学分野の研究開発では、効率化、高速化、小型化など、研究史のなかでつねに探求されてきた目的を継承することが評価される。しかし、技術に対する私たち女性の問題意識は、そのようなシンプルな指標では表わしづらいことが多い。苦労して文字や言葉に表わしても、男性研究者からは「なぜそんなものを、わざわざ開発しなくてはならないのか?」と理解されないことが実際多かった。

 そこで私たちCHORDxxCODEは、女性の視点から発見した新しい問題や技術提案を誰にでも理解してもらうために、「問題発見」や「技術的理解」はもちろん、「プロトタイプ製作」まで自分たちで行う方法を提案しようとしている。新しい技術の価値は、文字や言葉だけではなかなか伝わらなくても、数値で表せば伝わることがある。さらに実際に技術を形に表せば伝わる可能性はぐっと大きくなる。

 一般に企業では、プロトタイプを製作する前に、企画書の段階で、社内の合意を得る必要が求められているかもしれない。このように一段一段段階的に進めなければならないシステムは、はなはだ問題である。技術のわかる女性を起用し成功している、例えばプリクラメーカーでは、「担当者を決めたら、彼女を信じて、最後までほぼ丸投げする」と言っていた。いちいち稟議を必要としていたのではチャンスを逃す場合すらあるだろう。業種によっては、安価で素早い3Dプリンタなどを導入して、プロトタイプ製作をもっと容易にできることもあるはずだ。しかし企業の実態をとやかく言う前に、まずは研究者である私たちCHORDxxCODEが、企業に率先してこの方法を取り入れて、モデルケースを作ってみようと考えているわけだ。

図1 CHORDxxCODEの開発プロセスと女性の関与
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CHORDxxCODE [リサーチ/エンジニアリングユニット]

東京大学の工学部2号館で、たまたま同時期に研究生活を送っていた女性博士研究者7名で結成したリサーチ/エンジニアリングユニット。何気ないおしゃべりの中から生まれる発想・発見を大事にしつつ、そこに7名の知識と技術を組み込むことで、新たなメディアテクノロジーを実践的に生み出すことを目指している。女性らしい感情や感性(CHORD)と、プログラムのソースコードのような技術の元になる論理的思考(CODE)をハイブリッドに駆使する集団であることからCHORDxxCODEと命名。メンバは上岡玲子 博士(工学)、大谷智子 博士(心理学)、金 ジョンヒョン、久保友香 博士(環境学)、ソンヨンア 博士(学際情報学)、中島佐和子 博士(工学)、橋田朋子 博士(学際情報学)。
http://chordxxcode.com

 


CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代

 ビジネス、サイエンス、テクノロジー……あらゆる分野で女性の活躍が著しい。しかし一方、世界の先進国の中で日本における女性の活用・登用は最低水準にあるという不名誉な状況は、最近の調査でも変わっていない。国レベルでの政策転換が求められるのは当然だが、進めようとする側からして男社会なので、見ていてどうにも歯がゆい。メディアも男性的視点からの扱いが多すぎる。

 この連載は、女性博士研究者が集うリサーチ/エンジニアリングユニット「CHORDxxCODE」に参加する私たち7人の女性エンジニアたちが、男女の対立軸など一気に取り払い、女性らしい女性の視点、ありのままの今日的な視点で、「女性的エンジニアリングの時代」を読者に伝えようとするリアルタイムレポートである。

「CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代」

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