人がいちばん怖いのは、社会的に「失敗者」と思われること

安藤 あ、そういえば、私も独立するとき、失敗したときの「他の道」は考えましたね。

白木 そうなんですね。それはどんな道ですか?

安藤 資格取得や再就職などいくつか考えていたのですが、そのうちのひとつに、コンビニエンスストアで働くことがありました。

白木 コンビニ! 意外でした。それはまたどうしてですか?

安藤 私、とにかく、コンビニが大好きなんです! 高校生のときには学校に内緒でアルバイトをしていましたし、今も毎日、必ず通っています。コンビニ好きが高じて雑誌で連載を持つことになったくらい。コンビニって、ラインナップやレイアウトで大きな差別化を図ることが難しいですよね。だからこそ、棚の見せ方や商品につけるPOP、企業や雑誌とのコラボなど、店頭でやってみたいことがいろいろあって。

白木 あぁ、なるほど。たしかにすごく楽しそうですね。

安藤 だから、独立が失敗したらアルバイトで雇ってもらって、そこで頭角を現して店長になって……なんて妄想していました(笑)。コンビニだけでなく、ほかにもやってみたいことはたくさんある。だから、失敗したとしても「人生終わった」と絶望はしないと思います。人生はワン&オンリーじゃないはずですから。

白木 美冬さんに相談される方々だって、「失敗しても、即人生が終わるわけではない」と頭ではわかっているのではないでしょうか。仕事は、世の中には本当にたくさんありますから。自分が何にこだわるか、というだけで。

安藤 つまり、勇気が出ないのは、金銭的な問題がメインではないということですよね。結局、みんな何よりも「社会的に失敗者と見なされること」が怖いんじゃないでしょうか。

白木 そうですね。「あの人は起業したけど失敗して無職だ」「この人は独立したけど仕事がないらしい」と思われることは、怖いし恥ずかしい。けれど、それは他人の目を気にせず自分で決断する勇気、つまり「自分のために生きる」勇気を持つことで解決できる問題です。

安藤 本当、そのとおりだと思います。私、ちょっと前から勇気について結構考えているんですが、その中で「勇気には2つのフェーズがある」と気づいたんです。

白木 2つのフェーズ?

安藤 1つめは、歯を食いしばって体を震わせながら、恐怖や羞恥心と戦うフェーズ。2つめは、思い切って行動に移すフェーズ。つまり、ガタガタ震えながら恐怖や羞恥心と戦うことは、「勇気へのプロセス」なんです

白木 恐怖や羞恥心と戦うことをやめてしまうと、勇気を得るフェーズまで到達できない、ということですね。結局、全部、自分の問題なんですよね。「できる」「できない」と囁く天使と悪魔。そのどちらを選択するかは、自分しか決められないから。