経営×ソーシャル
バリュークリエイターたちの戦略論
【第7回】 2014年5月1日
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荒木博行 [グロービス経営大学院 教授、株式会社グロービス ディレクター]

ファッションを、もっと自由に。
26億円赤字撤退からの“倍返し”(前編)
――ジーユー・柚木治社長

野菜事業で26億円の赤字を出し敢え無く撤退。出した辞表はオーナーの柳井正から“金を返せ”と突き返された。あれから10余年。その柚木治氏率いるファッション衣料ブランド「GU(ジーユー)」が気を吐いている。オンシーズンに低価格でトレンドを身に着けられるというコンセプトが若者を魅了したのだ――。孤高さすら感じさせるユニークネスと、多くの者の共感を呼び揺り動かすビジョン。一見、相矛盾する要素を兼ね備え、圧倒的な価値を生み出す“バリュークリエイター”の実像と戦略思考に迫る連載第3回前編。(企画構成:荒木博行、文:治部れんげ)

柚木 治・株式会社ファーストリテイリング上席執行役員、株式会社ジーユー代表取締役社長

 文字通り「倍返し」をした。

 低価格のファッション衣料ブランド「GU(ジーユー)」は2012年度売上高580億円、利益50億円(※取材時。直近に発表の2013年度業績は売上高837億円、利益76億円)。同社を率いる社長の柚木治(ゆのき・おさむ)は、10余年前、2002年に立ち上げた新規事業を1年半で畳んでいる。赤字額は26億円。

 今回は、10年足らずで倍の金額を返し切ったビジネスマンの仕事を見る。

「自分のような失敗した人間が上に立ったら、
みんなが嫌な気持ちになる」

 それは2008年のことだった。ファーストリテイリングの低価格衣料ブランド「ジーユー(g.u.:当時)」の「副社長になってくれないか」と、声をかけられた柚木は当初、固辞し続けた。ジーユーは2006年にファーストリテイリングとダイエーが業務提携して立ち上げたブランドで、ユニクロより安いファミリー向けの衣料品をGMS(総合スーパー)で売ることを目的にしていたが、ユニクロとの違いが消費者にうまく伝わらず赤字が続いていた。

 当時は柚木にとっても低迷期だった。2002年に立ち上げた、いわゆる「ユニクロ野菜」事業が失敗し、1年半で撤退した記憶が新しかったためである。辞表を出そうとしたところ、会長の柳井正に止められた。「お金を返して下さい」という、柳井独特の言い回しで慰留されたことを、知っている人もいるだろう。

荒木博行 [グロービス経営大学院 教授、株式会社グロービス ディレクター]

慶応義塾大学法学部卒業、スイスIMD BOTコース修了。住友商事株式会社を経て、グロービスに加わり、法人向けコンサルティング業務に従事。現在は、グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修における戦略系、および思考系科目の教鞭を執る。著書に『ストーリーで学ぶ戦略思考入門――仕事にすぐ活かせる10のフレームワーク』、執筆ケースに「住友化学のオリセットネット事業」。

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バリュークリエイターたちの戦略論

孤高さすら感じさせるユニークネスと、多くの者の共感を呼び揺り動かすビジョン。一見、相矛盾する要素を兼ね備え、圧倒的な価値を生み出す“バリュークリエイター”の実像と戦略思考に迫る連載。

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