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原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道

原発からライター用まで1本から受注!
世界が認めた東海バネの職人芸×IT経営
渡辺良機 東海バネ工業社長に聞く(前編)

原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]
【第7回】 2009年7月29日
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 真っ赤な線材が加熱炉から、すーっと伸びてくる。線材の直径は、実に70ミリもある。それを自社開発の自動巻き取りロボットが、水あめを巻き取るように、ぐるぐると螺旋(らせん)形に巻きとり、ばねの形が姿を見せる。線材の表面温度は900度。熱せられた空気が、こちらにもワッとも押し寄せてくる。この巻き取りを除けば、その他の工程はほぼ職人の手作りだ。

線材の表面温度は900度!加熱炉を出て、自動巻き取りロボットがぐるぐると螺旋形に巻き取り、ばねの形にしていく。

 ここは兵庫県伊丹市にある東海バネ工業の伊丹工場。同社はばねの設計・製作の専業メーカーである。同社はいわば町工場でありながら、66期連続して黒字決算を記録。2008年度の売上は約20億円で営業利益も約2億円と、二桁(ケタ)の営業利益率を確保している。社歴は古く、1934(昭和9)年に南谷三男氏が創業した。1984年にバトンを引き継いだ、渡辺良機社長は2代目である。

 東海バネの最大の特徴は、完全オーダーメイドの「多品種微量生産」に徹していること。注文は1個からでも受ける。その製品たるや、大は原子力発電所から、小は人工衛星にまで使われている。昨年11月には、ユニークなビジネスモデルを構築し、高い収益力を確保する企業に贈られる「ポーター賞」を受賞した。

東海バネ工業の二代目社長、渡辺良機(わたなべ よしき)氏

渡辺社長:私どもは、創業以来、単品で難しい製品だけを追求してきました。ですから、バネでできないものはない。2003年に西岡郁夫(元インテルジャパン社長)さんから、「これだけのビジネスモデルがあるのだから、ITを使ったらもっと儲かる仕組みになるよ」と言われて、そのご指導のもとにインターネットを活用したITを使ったのですが、それで単品でお困りのお客様がこれほどいらっしゃるのかということが、改めて分かりました。

 もちろんベースは、あらゆるものを製品にする生産技術力、つまりは職人の技術・スキルです。ですから、私どもは、360度どこからでも注文を受けるし、特定のお客様にかたよっていない。

 日本ではバネメーカーは約3000社あります。その3000社がよってたかっても、市場規模は金額にすると、3500億円。2000年、2001年のピークでは、4000億円を超える国内生産があったんですけど、ボトムは2500億円くらいまで落ちたこともあります。

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原 英次郎 [週刊ダイヤモンド論説委員]

1956年生まれ、佐賀県出身。慶應義塾大学経済学部卒。
1981年東洋経済新報社に入社。金融、証券、エレクトロニクスなどを担当。
1995年『月刊金融ビジネス』、2003年4月『東洋経済オンライン』、
2004年4月『会社四季報』、2005年4月『週刊東洋経済』の各編集長などを経て、2006年同社を退社。
2010年3月ダイヤモンド・オンライン客員論説委員、2011年10月編集長、2015年1月より現職。
主な著書に『銀行が変わる?!』(こう書房)、『素人のための決算書読解術』(東洋経済新報社)。

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