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スポーツと経営学

戦略的ポジショニングとグッドサイクル
――上原浩治の活躍を考える

嶋田 毅 [グロービス 出版局長兼編集長、GLOBIS.JP編集顧問]
【第11回】 2014年5月2日
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スポーツ界をビジネスの視点から見る「スポーツと経営学」。第11回は、メジャーリーグ、ボストン・レッドソックスの2013年ワールドチャンピオン獲得に多大な貢献をしたクローザー(押さえ投手)上原浩治投手の成功要因を考える。

「上原を嫌いにはなれない」

 日本時間2013年10月31日、メジャーリーグのワールドシリーズ第6戦、6-1とレッドソックスリードの場面で9回のマウンドに登った上原浩治は、セントルイス・カージナルス最後のバッターを得意のフォークボールで三振に取り、日本人としては初のワールドシリーズ「胴上げ投手」になった。ワールドシリーズを含むポストシーズンでのセーブ数7は史上タイ記録、特にリーグチャンピオンシップ・シリーズ、強力打線を擁するタイガース戦ではチームの4勝すべてに絡む1勝3セーブの大活躍でMVPも獲得している。まさに獅子奮迅の活躍であった。

 10月30日のニュースでは、USA Today誌が、以下のような記事を載せていると話題になった。概ね以下のような内容だ。

 「髭(今年のレッドソックスは多くの選手が髭を生やしていた)を嫌いになってもいい、ボストンのファンを嫌いになってもいい(レッドソックスのファンは熱狂的だが傲慢という印象を持たれている)、その他にも人々がレッドソックスに関して嫌いになるかもしれないものはいろいろある。しかしクローザーの上原だけは嫌いになれない。嫌いになろうと試してみても無駄だ。なぜなら、この38歳のクローザーはポストシーズンで史上に残る活躍をしているのだから。彼の今シーズンのWHIP(1イニングあたりに許した安打+四球数)は、50イニング以上投げた投手としては史上最高、しかも2位を大きく引き離した数字だ。三振奪取率も非常に高い。彼はモンスターだ。彼はクローザーになる前の中継ぎ時代からファンの人気者だった。ダグアウトに戻るときのハイファイブ(相手の上げた手のひらと 自分の上げた手のひらを「やったぜ」という感じでタッチさせること)、チームの支柱であるオーティズ選手との仲の良さ、そして息子のカズをゲームに連れてくるようになったこと…。ここまでの活躍が出来るとは上原も予想していなかったかもしれない。しかし彼はいつも集中し、活躍できることを楽しんでいた(以下略)」

 USA Todayがここまで1人の選手、しかも彼らから見れば外国人選手を持ちあげるのは非常に珍しいということもあって、このニュースは日本人ファンからも極めて好意的に受け止められた。

 事実、上原の今シーズンの活躍、特に後半戦の活躍は事実素晴らしいものがあった。レギュラーシーズンで特筆されるのは、8月から9月にかけて連続37人の打者をアウトに仕留め、同時に連続試合無失点27の記録を残したことだろう。

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嶋田 毅 [グロービス 出版局長兼編集長、GLOBIS.JP編集顧問]

東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社、主に出版、カリキュラム設計、コンテンツ開発、ライセンシングなどを担当する。現在は出版、情報発信を担当。累計120万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」や、「グロービスの実感するMBAシリーズ」のプロデューサーも務める。
グロービス経営大学院や企業研修においてビジネスプラン、事業創造、管理会計、定量分析、経営戦略、マーケティングなどの講師も務める。また、オンライン経営情報誌 GLOBIS.JPなどで、さまざまな情報発信活動を行っている。


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