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CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代

「欲しい技術を作る」という工学への挑戦

CHORDxxCODE [リサーチ/エンジニアリングユニット],久保友香 [東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学研究科客員研究員]
【第3回】 2014年5月9日
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第2回では、CHORDxxCODEの技術開発における、4つのメソッドを紹介した。今回は、その4つのメソッドを使って、これまでCHORDxxCODEが行ってきた、主な活動を紹介する。(文/CHORDxxCODE 久保友香)

 前回お伝えしたように、CHORDxxCODEのプロセスの一つの特徴は、おしゃべりを発端に技術開発を行うことである。「今、多くの人が何を求めているか」といった社会的問題意識ではなく、「私は今、これが欲しい」と、おしゃべりをし合って共有する自分たちの問題意識を発端に、技術開発を行う。

 私たちがバックグラウンドとする工学は、空間も時間も超えた「普遍的」な人々に、「画一的」に利益を与える技術であり、それをいつどこでも同じように作れる「再現性」を目指している。しかし、CHORDxxCODEでは、従来の工学では対象としてこなかった、自分だけが欲しい「個人的」な技術、今、一瞬求められる「流行」のための技術、すぐ消えて無くなってしまう「儚い(はかない)」技術まで、対象にしていこうと、最初から話し合った。

 今では人々は、テレビや新聞や雑誌から皆で同じ情報を得るのではなく、インターネットでそれぞれ別々の情報を得ている。人々の要求は多様化し、画一的な技術を供給して、人々から大きな満足を得ることは、不可能に近いと考える。それよりも、私たちが本当に欲しい技術を提供すれば、少なくとも一部の人々からは強く支持される可能性があると考えた。

 今回は、CHORDxxCODEが具体的におしゃべりを発端に、どのように「自分たちの欲しい」技術を開発していったか、2つの事例を紹介する。一つ目は、完全に、自分たちの問題意識のみから開発した「フルーツプロッタ」の事例、もう一つは、企業と問題意識を共有しながら、「自分たちの欲しい」技術を開発した「美努力支援メディア」の事例である。

食べられるディスプレイ「フルーツプロッタ」とは

 「フルーツプロッタ」はCHORDxxCODEが最初に作ったプロダクトである。それが、おしゃべりを発端にしてどのように作られたかを紹介する前に、まずは、それがどんなものなのかを説明しよう。

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CHORDxxCODE [リサーチ/エンジニアリングユニット]

東京大学の工学部2号館で、たまたま同時期に研究生活を送っていた女性博士研究者7名で結成したリサーチ/エンジニアリングユニット。何気ないおしゃべりの中から生まれる発想・発見を大事にしつつ、そこに7名の知識と技術を組み込むことで、新たなメディアテクノロジーを実践的に生み出すことを目指している。女性らしい感情や感性(CHORD)と、プログラムのソースコードのような技術の元になる論理的思考(CODE)をハイブリッドに駆使する集団であることからCHORDxxCODEと命名。メンバは上岡玲子 博士(工学)、大谷智子 博士(心理学)、金 ジョンヒョン、久保友香 博士(環境学)、ソンヨンア 博士(学際情報学)、中島佐和子 博士(工学)、橋田朋子 博士(学際情報学)。
http://chordxxcode.com

 

久保友香 [東京工科大学メディア学部講師、東京大学大学院情報理工学研究科客員研究員]

2006年東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京大学大学院情報学環特任研究員を経て、2012年より現職。女性が美しく変身することを支援するシンデレラテクノロジーの研究開発を行っている。www.beauty-hacker.com


CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代

 ビジネス、サイエンス、テクノロジー……あらゆる分野で女性の活躍が著しい。しかし一方、世界の先進国の中で日本における女性の活用・登用は最低水準にあるという不名誉な状況は、最近の調査でも変わっていない。国レベルでの政策転換が求められるのは当然だが、進めようとする側からして男社会なので、見ていてどうにも歯がゆい。メディアも男性的視点からの扱いが多すぎる。

 この連載は、女性博士研究者が集うリサーチ/エンジニアリングユニット「CHORDxxCODE」に参加する私たち7人の女性エンジニアたちが、男女の対立軸など一気に取り払い、女性らしい女性の視点、ありのままの今日的な視点で、「女性的エンジニアリングの時代」を読者に伝えようとするリアルタイムレポートである。

「CHORDxxCODEが伝える女性的エンジニアリングの時代」

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