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定年前後に“社内失業”するのはこんな人!
今こそ主張したい「40歳定年制」の本当の意味

――東京大学大学院・柳川範之教授インタビュー

ダイヤモンド・オンライン編集部
2014年5月9日
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2013年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は定年に達した希望者全員を65歳まで雇用する義務を負うことになった。そうしたなか、現在多くの職場で生まれている問題が、定年前後社員の“社内失業”だ。年金受給開始年齢がさらに引き上げられるとも囁かれるなか、会社と個人の双方にメリットのある「75歳まで活躍できる働き方」はどう実現すべきか。75歳まで働ける社会を実現すべく「40歳定年制」という改革提案を打ち出している東京大学大学院・柳川範之教授に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

定年前後に“社内失業”するのは
転職もスキルアップもせず働こうとするから

やながわ・のりゆき
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
1988年、慶應義塾大学経済学部卒業。1993年、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士号取得。慶應義塾大学経済学部専任講師、東京大学大学院経済学研究科助教授、准教授を経て、2011年より現職。研究分野は金融契約、法と経済学。主な著書に『日本成長戦略 40歳定年制』、『法と企業行動の経済分析』、『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』などがある。

――現在、再雇用等によって定年後も働く人が増えましたが、現実には「ポストがない」「使えない」など社内失業状態の人も少なくありません。経験や知識豊富なシニア社員がなぜそうした状態に陥っているのでしょうか。

 定年延長の流れのなかで60歳以降も働かなければならなくなった時、多くの人がこれまで働いてきた会社で引き続き働くことをイメージすると思います。しかし今、その人たちが十分に活躍できる場を同じ会社の中で探すのは、非常に難しい状況です。

 1つ目の理由としては、外的・国際的な経済環境の変化によって、会社を取り巻く状況が大きく変わったことが挙げられます。会社自体もその環境変化に合わせて変わっていかなければならないため、今まで活躍してきた人材をそのまま働かせる場所が社内に残り続けるとは限らないのです。

 もう1つの理由が、世の中を取り巻く環境が大きく変わっているにもかかわらず、社員自身が変化に合わせたスキル・能力を身につけられていないことです。50代~60代の社員にとって、今まで得られた経験は大きな強みです。しかし、それにあぐらをかかず、これからの社会で何が必要とされ、自分がどれだけの能力を発揮できるかを考え、スキルを磨き続けなければ、これからの世の中では通用しません。

 これまで多くのシニア人材がそうした発想に至らなかったのは、以前はそれほど急激には環境が変化することはなかったからでしょう。しかし今、世の中はものすごく速いスピードで変化しています。特にITの進展は著しく、スマホもタブレットも電子メールもなかった2、30年前とは、日常生活も大きく変わりました。そうしたITによる変化は、当然働く場でも起きていますし、今後ますます変わっていくでしょう。

 寿命が短かった時代であれば、能力が息切れしても走りきることができたかもしれません。しかし今、日本人の寿命は伸び、元気に働ける期間が長くなりました。年金支給が遅くなったから働かなければならないという後ろ向きな理由だけでなく、元気でやる気があれば60代、70代でも生き生き働けるためのスキルアップが必要なのです。

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