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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

事業所の増加が名目GDPを押し上げていた?
“新陳代謝”こそが日本経済成長のエネルギー
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第135回】 2014年5月15日
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初めてわかった新設事業所の付加価値
『経済センサス』の興味深いデータ

 日本経済が成長するためには、産業保護を維持するだけでは駄目だ。やはり、新規事業を興し、投資拡大を推進しなければ、経済成長という伸び代を引っ張ることにはならない。

 先日、興味深いデータが発表された。総務省『経済センサス』(2012年)である。ここでは、2009年7月~2012年2月までに新設された事業所が、2011年中に生み出した付加価値が10.0兆円だったことが明らかになっている。事業所の付加価値の創出状況がわかるのは、初めてだ。

 2011年の名目GDPが471.3兆円だったことを考えると、新しく設置された事業所が生み出した10.0兆円の付加価値は、対名目GDPで2.4%の成長寄与だったことになる。

 事業所数の変化に注目すると、2009~2012年の約2.5年に新設された事業所数は28.7万先(事業内容不詳を含めば44.3万先)であり、全事業所の5.3%になる。計算上、1年間に14社に1社が廃業する代わりに、47社に1社が生まれている計算だ。わが国の企業の顔触れは一定期間で入れ替わっていて、新陳代謝もある程度は進んでいる。

 次に、このデータを使って、1998年以降、新設事業所がどのくらいの付加価値を生み出してきたかを計算してみた(図表1参照)。過去、新設事業所がどのくらいマクロの経済成長を引っ張ってきた可能性があるかを示すものである。グラフを見て気がつくのは、両者の奇妙な対応である。名目GDPの成長率が高くなるときは、新設事業所が生み出した付加価値が大きくなっていた。

(注)1先当たりの新設事業所の付加価値創出額は、2012年『経済センサス』しかないので、過去も1事業所の付加価値創出額が同じだったと仮定した。
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熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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