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開成学園校長 柳沢幸雄さんインタビュー連載 子どもに「一生モノの自信」をつける方法
【第8回】 2014年5月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
柳沢幸雄 [東京大学名誉教授]

開成学園校長・柳沢幸雄さん×
作家・高橋秀実さん 対談3
「燃え尽きない子」の特徴

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どんな時代でも生きていける「一生モノ」の自信をわが子につけさせるには、どうすればいいのだろう?と迷いを感じている親御さんに向けて、不定期でお送りしている開成学園校長・柳沢幸雄さんのインタビュー。5月21日から5回にわたり、開成高校硬式球部を取材したベストセラー、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』の著者・髙橋秀実さんとの対談を隔日で掲載しています。開成学園といえば、「東大進学者数全国ナンバー1」として知られる日本トップクラスの進学校。ところが、お二人の対談を通して見えて きたのは、「開成っ子」の意外すぎる一面でした。「自分らしさをトコトン追求する執着力」についてお話いただいた対談・第1回目、第2回目に続いて今回は、開成っ子のどんな一面が見えてくるのでしょうか?

「勝つための努力」を究めさせる

髙橋秀実
(たかはし・ひでみね)
1961年横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経て、ノンフィクション作家。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。そのほか著書に『TOKYO外国人裁判』『素晴らしきラジオ体操』『からくり民主主義』『はい、泳げません』『やせれば美人』『結論はまた来週』など。

髙橋『「弱くても勝てます」』でも書きましたが、開成野球部が目指しているのは、“勝つための”野球。だから下手でもいいんです。通常の野球選手は、球が飛んできたら走りながら捕り、捕りながら送球の体勢に入る。この一連の流れるような動作が一番早いし、格好もいいからみんなそれを習得しようとするんですが、これは結構難しい。だから開成高校野球部の青木監督は、正面に来た球だけを確実に捕り、確実に送球すればよいという方針をとったんです。正面以外に来た球は「なかったことにする」と。

なんか、ガチガチであまり格好のよいものではありません。でも実際の試合で強い打球が飛んでくると、
流れる動作はグローブを弾いたりすることがありますが、開成の守備はそれこそ確実に捕球し、しっかりアウトにできたりする。下手でも勝てる。私たちはつい上手くなろうとしがちですが、監督は「勝つために必要なことは何か」と問いかける。目的意識が非常に明確なんです。

柳沢 目的の設定は、部活でも、勉強でも、何もするにもものスゴく重要なんです。“逆算して考える”と言いますが、僕が生徒にいつも言っているは、「自分でちゃんと働いて、自足の生活をまっとうすること。これが教育のゴールなんだから、今、何をやればいいか、ゴールから逆算して考えなさい」ってことなんです。とっても現実的でしょう。

まずは自分が“将来こういう職業に就いていたら満足できるだろう”というイメージを決める。そのためには、どういう技術と知識が必要かリサーチする。受験する大学を選ぶのは、そこからです。みんながみんな医学部や東大を目指して勉強するんじゃなくて、生徒のゴールはそれぞれ違うから、高校生活の過ごし方も千差万別なんです。この“トップダウン方式”なら、大学に受かっても燃え尽きないのも利点です。

髙橋 大学に合格すると燃え尽きちゃう子もいるんですか?

柳沢 いますよ。大学合格を目標にすると、それがゴールになって燃え尽きちゃう。けれど、具体的な「職業」から逆算していくトップダウン方式なら、大学合格も1つの経過にすぎませんから、燃え尽きることはないわけです。

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柳沢幸雄 [東京大学名誉教授]

 

東京大学名誉教授。開成中学校・高等学校校長。シックハウス症候群、化学物質過敏症に関する研究の世界的第一人者として知られる。1947年、疎開先・千葉県市川市の母の実家で出生。1971年、東京大学工学部化学工学科を卒業後、日本ユニバック株式会社にシステムエンジニアとして勤務し、激務のかたわら、週15時間英語の勉強に打ち込む。1974年、水俣病患者を写したユージン・スミスの写真に衝撃を受け、化学工学を勉強すべく、東京大学大学院工学系研究科の修士課程・博士課程に進学。この頃、弟と一緒に学習塾の経営を始める。東京大学工学部化学科の助手を経て、1984年にハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の研究員の職を得て、家族を連れ渡米。その後、ハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の助教授、准教授、併任教授として空気汚染の健康影響に関する教育と研究に従事、学生による採点をもとに選出される「ベストティーチャー」に数回選ばれる。1999年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻教授に就任。2011年より現職。著書に、『東大とハーバード 世界を変える「20代」の育て方』(大和書房)、『ほめ力』(主婦と生 活社)、『CO2ダブル』(三五館)、『化学物質過敏症』(共著、文藝春秋)他多数ある。

 


開成学園校長 柳沢幸雄さんインタビュー連載 子どもに「一生モノの自信」をつける方法

変化の激しい先の見えない時代を生き抜いていける、「一生モノの自信」をわが子につけさせたい。そう願う親御さんは多いはず。ブレない自信とは何か? 自信はどのように生まれるのか?そのために親がしてやれることは何か?「一生モノの自信」をつけさせる秘訣を、2011年から開成学園の校長を務められている東京大学名誉教授・柳沢幸雄先生に、うかがいます。

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