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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

日銀の金融政策と自己資本対策の行方
~追加金融緩和の有無と法定準備金積み増しの意味~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第136回】 2014年5月21日
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日銀の経済・物価見通し:
実質GDPを引き下げ、コアCPIは据え置き

 先月30日に発表された日銀の「展望レポート」では、2013、14年度の実質GDP見通し(政策委員の大勢見通しの中央値)が、それぞれ+2.2%(前回1月22日時点+2.7%)、+1.1%(同+1.4%)に引き下げられた。一方、コアCPI(生鮮食品を除く総合CPI)は据え置かれた(図表1参照)。

 需給ギャップ(実際の実質GDPと潜在GDPの乖離)がコアCPIに2四半期ほど先行することを踏まえると、実質GDP見通しを下方修正する一方でコアCPI見通しを据え置くには説明が必要だ。これについて日銀は、①雇用誘発効果の大きい国内需要が堅調に推移するもとで労働需給が引き締まっている、②中長期的な予想物価上昇率の高まりが実際の賃金・物価形成に影響を与え始めている、という説明をした。

注:1.当社予測は実質GDPが5月15日、コアCPIが4月25日時点。
     2.コンセンサスは日本経済研究センター『ESPフォーキャスト調査(5月調査)』による。同調査の調査期間は4月28日~5月7日。
出所:日本銀行、日本経済研究センター『ESPフォーキャスト調査(5月調査)』よりバークレイズ証券作成

内需主導の景気回復が示唆すること:
フィリップス曲線のスティープ化

 このうち、①ついては産業連関表が参考になる。先月、経済産業省は2012年簡易延長産業連関表を発表した。それによると、直近2012年の粗付加価値誘発係数(各需要1単位によって誘発される粗付加価値額の大きさ)は、政府消費支出0.927、民間消費支出0.872、公共投資0.858、輸出0.829、民間資本形成(民間設備・住宅投資)0.775となっている(図表2参照)。

 確かに、輸出より内需(ただし民間資本形成は除く)、とりわけ公的需要の粗付加価値誘発係数が高い。したがって、同じ景気回復でも内需主導であるほど、国内労働需給が逼迫しやすく、結果的に賃金が上がりやすい可能性はある。

 つまり①は、フィリップス曲線(需給ギャップを横軸、CPI変化率を縦軸に置いたときに右上がりとなる関係)のスティープ化に当たる。

注:各需要項目1単位で誘発される粗付加価値
出所:経済産業省『簡易延長産業連関表』などよりバークレイズ証券作成
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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

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「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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