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認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

若者の起業はそれ自体が承認の道具になっていないか

梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]
【第19回】 2014年5月21日
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これまで当連載では「承認欲求」が強くなっている社会について、社会的な背景を中心にその原因を探ってきた。今回は、最近ちらほら見受けられる若者の独立志向について、僕が身を置く周囲の業界を参考に探っていきたいと思う。

 最近、若者の間で、終身雇用制度を望む人が増えているというのが話題になっている(参考:厚生労働白書など)が、どうも消極的な理由で望んでいる人が多い印象がある。では、優秀な学生についてはどうなのかというと、ある人材コンサルタントの話によると、特に高学歴で成績が優秀な人の間では、大企業に就職することを敬遠する傾向があるとのことだ。

 確かに、大企業への就職は優秀な学生にとってつまらないものかもしれない。何かアイディアがあったとしても、大きな会社ほど動かしにくくなる。承認欲求というテーマに照らし合わせて考えれば、以前は有効だった「大企業の名刺」の世間的な効力が弱まっているのもその理由かもしれない。

 ちなみに、僕は26歳で独立した脱サラ起業家なので、独立志望の人から相談されることも多い。僕は大企業で働いたことがなかったので、大企業と取引するときに気をつけなくてはならないことや、予算の取り決めについてどのような折衝が行われているかわからないことも多く、そこが現在の事業活動においてネックになったりもしている。なので、せっかくノウハウを知ることができる良い会社に就職できる機会があるなら、就職するのも良いのではないかと思う。それが、「独立しているかっこいい自分」に酔って独立を志向しているような状況であればなおさらである。

サラリーマンは
バンド活動のようなものである

 企業への就職は、ミュージシャンにたとえると、すでに活躍しているバンドに加入するようなものだと思う。音楽の道を志す際に、いきなり作詞・作曲・編曲やライブの広報活動など音楽活動に必要な要素をすべて1人でやるのは自分の思い通りになってすばらしいかもしれないが、経験がなければ難しい。もちろん現代は録音技術の進歩やツールの発達によって作詞作曲のハードルも下がっているので、1人でもなんとかできる。ベンチャー企業を作りやすくなっている現在と状況は似ているかもしれない。

 しかし、すでにできあがっているバンドに加入すれば、自分の与えられたポジションがギターなのであれば、とにかく最初は与えられた曲のギターパートをうまく弾けるようになれば良い。すでにファンがついているようなバンドに加入すれば、いきなりファンを獲得できたりする。そうやってバンドを眺めているうちに、なるほどお客さんを魅了するにはこうやってやるんだな、とかそういう部分が見えてくる。

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梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]

ロスジェネ世代(1981年生)の編集・ライター。フリーライター、編集プロダクション勤務を経て2008年より株式会社プレスラボを起ち上げる。著書に『エレベスト』(戎光祥出版)。web上のニュースサイト「下北沢経済新聞」編集長。「GetNavi」(学研)誌上で『コンビニ研究室』連載中。他に「日経トレンディネット」「COBS ONLINE」「R25」「サイゾー」など主にネット媒体で執筆中。起業したのは旺盛な独立心と言うよりも、むしろサラリーマンの職場における煩わしい人間関係から逃げるため。
ツイッター:@umeda_kazuhiko


認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

「強迫観念にとらわれたかのようにメールの返信を急ぐ人」、「ランチを一緒に食べる友達がいないと思われるのがイヤで、トイレでご飯を食べる人」……。オジサンには一見不可解な現代の若者に特徴的なこれらの行動。こうした行動を駆り立てる原因を探っていくと、彼らの「認められたい」という思いに行きつく。この連載では、「承認」をキーワードに、特に若者の間で広がる現代社会の生きづらさの正体を考える。

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