うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代
【第6回】 2014年6月6日
著者・コラム紹介 バックナンバー
石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]

「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位
非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか

previous page
2
nextpage

日本人の生産性アップを
阻害していた“2つの要因”とは

 ここまでお読みいただいて、特にこれからの日本で、いかに生産性の向上が重要か、おわかりいただけたかと思います。では、なぜ日本企業はこれまで生産性を上げることができなかったのでしょうか。

 2つの理由が考えられるのですが、1つ目の理由として、社員がどのように働いているか、何にどれほどの時間を要しているかという、ログ(データ記録)が取れなかったことが挙げられます。これまでは、企業が経営的な分析をしようとしても、参照できるデータがないため、上司の主観で「なんとなくこの人は仕事やりすぎ」「長時間働いていても成果が出ているからいいか」など結果から部下の仕事ぶりを推測する人が多かったように思います。事実、社員の行動を全てデータにとって、働き方や労働時間当たりの価値を測ろうと考えた人もあまりいませんでした。

 社員の行動や業務をデータとして記録しておくことが難しかったのは、環境面で2つの課題があったからだと思います。1つは、仕事場でIT機器や業務アプリケーションを使う環境が整備されていなかったこと、2つ目は、その環境が整備されていたとしても、ログをたくさん残したり、分析できる基盤が創られていなかったことです。

 しかし今では、環境は様変わりしました。モバイルや次世代インターフェース、センサーの普及、さらにクラウドの登場によって、ログをどこでも記録したり、保存ができる環境は整いました。

 まず、モバイルの普及によって、外出をしていても自分が今いる場所のログを取ることはもちろん、外出先でのやり取りやスケジュールについてもログを取れる環境が整いつつあります。また、業務記録は今まで、自社のハードウェアに上限があったため、すべてを保存し、処理をするのは現実的ではありませんでした。しかし、現在では、外部のクラウドを利用することで、大量のコンピュータリソースを個人が必要なとき利用できるほど処理能力がアップしたのです。しかも、クラウドは自社でこうした処理を行うコンピュータを導入するよりも安い値段で利用できるため、中小企業での活用にも適しています。

 さて、では日本の生産性が向上しなかったもう1つの理由は、なんでしょうか。それは、経営者の意識が「社員の生産性向上」に向いていなかったことです。もちろん経営者の意識改革は難しいことです。しかし、データで社員の働き方が可視化できれば、考えるきっかけにもつながるはずです。

previous page
2
nextpage

経営戦略 一覧ページへ

媒体最新記事一覧

石黒不二代 [ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO]

スタンフォード大学にてMBA取得後、シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立し、日米間の技術移転等に従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、ウェブを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。

うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代

こんなにすごい技術、製品がうちの会社にはあるのに、なぜ売れないんだろう…。これは多くの日本企業が直面している問題といえます。この連載では、インターネットが当たり前の時代において、経営の目線から自社の技術を生かしつつ、ユーザーに受け入れられてヒットする商品の作り方を解説していきます。

「うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代」

⇒バックナンバー一覧