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配偶者控除見直しの是非を考える

女性社会進出の起爆剤か、それとも単なる増税か?
「103万円の壁」改革の論点を整理する

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第1回】 2014年6月18日
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いま、私たちの家計に大きな影響を与える税制の改革が、自民党と政府によって進められようとしている。「配偶者控除」の見直しだ。配偶者控除の見直しは、増税になるかどうかばかりでなく、夫婦の働き方や子育てにまで影響を及ぼす。そこで、本シリーズでは「配偶者控除」の見直しについて、さまざまな角度から議論を進めていく。第1回目は見直しの論点を整理する。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

近い将来、年収103万円以下でも
所得税を課税されることになる?

 配偶者控除の議論に入る前に、まず議論の一番の基礎となる、所得税を計算する仕組みを押さえておこう。所得税は収入全額に対してかかるわけではない。たとえばサラリーマンなら、会社からもらう給与全額にかかるのではなく、各種の控除(金額を差し引くこと)がある。

 まず、①給与収入(月給+ボーナス=年収)-給与所得控除=給与所得の計算式で、給与所得が計算される。給与所得控除は、会社勤めの給与所得者にあらかじめ認められた「経費」を差し引いてくれるもの、と考えると分かりやすい。

 さらに②給与所得-各種所得控除=課税所得の計算式で、課税所得が計算される。この課税所得に、所得金額に応じて決められた税率がかけられて、納める所得税の額が算出されるわけだ。

 この各種所得控除の代表格が「配偶者控除」だ(*1)。配偶者控除とは、ある納税者に収入が少ない(または、収入がない)配偶者がいる場合に、その納税者の所得金額から一定の金額を控除するものだ。②式からわかるように控除を受けた分、その納税者の課税所得が小さくなるため、納める所得税は少なくなる。

 配偶者控除を受けるにはいくつか条件があるが、その代表が配偶者の年収である。たとえば、夫婦のうち所得の多い方の配偶者をサラリーマンの夫、少ない方をパートで働く妻だと仮定しよう(以下、この仮定で話を進める)。妻の年収が103万円までであれば、夫は配偶者控除として自分の給与から38万円の控除が受けられる。

 また、読者のなかには「パートやアルバイトで働く人は、年収103万円までであれば、所得税はかからない」ということを耳にした人も多いだろう。

 その仕組みはこうだ。会社から給与をもらっている人の場合、①式の段階で給与所得控除65万円が認められ、②式の段階で基礎控除38万円が認められる。つまり、合計で65+38=103万円の控除が認められており、給与収入から給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合計103万円が差し引かれるわけだ。

 したがって、パートに出ている妻の年収が103万円以下の場合、103-103=0となり、妻に課税所得は発生しない。だから「年収103万円までであれば、所得税がかからない」と言われるのだ。

(*1)一般的な所得控除には、誰もが受けられる「基礎控除」、配偶者以外の扶養親族がいる場合に受けられる「扶養控除」、一定額以上の医療費を支払った場合に受けられる「医療費控除」など15種類がある。

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自民党と政府が本格的に検討を始めた「配偶者控除の見直し」。安倍政権は見直しの理由として、「女性の活躍推進」を挙げる。これについては、税制の専門家、保育や女性の労働環境を研究する専門家、ライフプランナーなど、さまざまな立場から賛成/反対の声が上がる。配偶者控除の見直しは、私たちの生活にさまざまな影響を与えるものだからだ。本連載では、こうしたさまざまな専門家に登場頂き、配偶者控除の見直しが妥当なのか、考えて行くことにする。

「配偶者控除見直しの是非を考える」

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