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オヤジの幸福論

忘れちゃならないDCの活用(3)

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]
【第30回】 2014年7月2日
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 これまで2回にわたり、確定拠出年金(以下、DC)についてお話ししてきました。まずDCのメリットやデメリットについて触れ、次に皆さんがDCをどのように活用しているのかを当社が実施したDC加入者のサーベイの結果から明らかにしてきました。今回はこれらを踏まえたうえで、DCでどのように運用すべきか、という少し実践的なお話をしたいと思います。

制度が運用に与える影響を考慮

 DCで運用をする際には留意しなければならない制度上の制約がいくつかありますが、最大の制約は原則として中途引き出しができないことではないでしょうか。加入期間にもよりますが、DCでは60歳までは引き出すことができず、病気などで急にお金が必要になったときでさえも引き出すことができないため、転職の際に受領できる確定給付年金(以下、DB)や一時金制度のほうが使いやすいと感じる人が多いと思います。でも人間は弱いもので、いつでも引き出せるとなると、ちょっとしたことで使ってしまうものです。貯金箱が満杯になる前に取り出した経験がある人は多いはず。したがって、自分年金を形成するという目的には、この制約はむしろありがたいものだと考えてください。しかも、この制約は強制的に長期運用ができるという点で運用にもポジティブな影響があります。例えば、50歳のオヤジの場合には10年以上の期間がありますから、相応のリスクをとった運用ができるようになります。このように、DCでは中途引き出しができないという制約を逆手にとって、長期の視点からリスクをとった資産配分を検討するべきだと私は考えます。

 制度面からの制約で運用に影響を与えるものがまだあります。それはDCでは資産の入れ替えに数日を要することです。通常、投資信託を入れ替える場合には、売却(および金額確定)に1営業日、購入に1営業日、計2営業日程度で完了させることができますが、DCの場合にはいったん現金化しなければならず、それに5営業日、購入に1~2営業日で合計6~7営業日もかかる場合があります。これでは日々のマーケットの動きを捉える機動的な運用ができるはずがありません。したがって、マーケットの動きを捉えるような運用を実施したいなら、DCではなく特定口座で実施するほうが適しており、DCでは長期的な資産配分を構築し、それをリバランスで維持していくような運用が適していると言えるでしょう。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 所長]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


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年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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