日系自動車産業のタブー。最大の敗北要因は「カルチャーの欠落」――トヨタ・日産・ホンダ等日系メーカーが自動運転とEV技術で「グーグル」に大負けするこれだけの理由【後編】日本自動車博物館(石川県小松市)。オーナーは、煉瓦やセメント加工品の製造販売会社・石黒産業(富山県小矢部市) Photo by Kenji Momota

 自動運転では、3D地図のデファクトを。
 EVでは、世界各地の施策の失敗例を参考に。
 そして、世界中の人々の「動静」を「車内においても」把握する。

 これらがグーグル(及び欧米IT大手)にとっての、日系自動車メーカーに対する優位性であると、過去2回(前編中編)にわたり解説してきた。

 だが、こうした技術論とは別次元で、日系メーカーが大負けする要因がある。

 それが「カルチャーの欠落」だ。

 ある意味でタブー視されてきた、日本の自動車産業の歩みについて、あえて触れる。

日本最大級の自動車博物館
所在地はなぜか、石川県小松市

 JR西日本・加賀温泉駅。

 東京からは、新幹線「ひかり」で米原乗り換え、特急「しらさぎ」で最短3時間50分。または、特急「Maxとき」で越後湯沢乗り換え、特急「はくたか」では最短4時間28分。さらに、2015年春に金沢まで北陸新幹線が開通すると、最短で約3時間になる。

 白山連峰を望み、日本海までは3km程。
 駅に隣接する観光案内所で、「自動車博物館に行きたいのですが」と聞いた。

日系自動車産業のタブー。最大の敗北要因は「カルチャーの欠落」――トヨタ・日産・ホンダ等日系メーカーが自動運転とEV技術で「グーグル」に大負けするこれだけの理由【後編】JR加賀温泉駅が起点の観光バス、「キャンバス」。「海まわり」と「山まわり」の2ルートで、近隣の温泉や観光施設を巡る。料金は1日券が1000円。自動車博物館に行く場合、セット乗車券1500円がお得 Photo by Kenji Momota

 加賀温泉郷協議会・山田るみさんは「それならば、この『加賀温泉郷パスポート』が便利です。周遊バス『キャンバス』の山まわり線と、自動車博物館を含めた3つの施設の入場料が込みで1500円ですから」と、笑顔でテキパキと答えた。

 タクシーなら片道3000円強、入館料大人1000円と比較して格安だ。『キャンバス』は山中温泉、山代温泉、加賀伝統工芸村・ゆのくにの森等を経由する『山まわり線』、片山津温泉等を巡る『海まわり路線』、そして『小松空港線』がある。

 『山まわり線』9番目の停留所が、日本自動車博物館だ。

 以前から一度来たいと思っていたが、なかなかチャンスがなかった。明治時代の欧米建築物のような煉瓦造りの外観。同館ウェブサイトの写真より、実物の方がはるかに大きく感じる。