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ハードウェアの逆襲が“泥臭く”始まる!
――「ソリッド2014」で見えた新しい潮流

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第49回】 2014年7月1日
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ソリッドのプログラム・チェアであるジョン・ブルナーと伊藤穣一の両氏 Photo by Noriko Takiguchi

 5月20~21日に、サンフランシスコで「Solid(ソリッド)2014」という新しい会議が開かれた。この会議がテーマとするところは、シリコンバレーにあっても非常に新しいテクノロジーとビジネスの分野である。そのポイントをレポートしよう。

 ソリッドを開催したのは、オライリー・メディア。「Oscon」(オープンソースソフトウェア)、「Web2.0」(新しいインターネットサービス、ソーシャルメディア)、「Strata」(ビッグデータ、アナリティックス)など、テクノロジー開発の中から常に新しい動きを見いだし、それを核として人々が話し合う機会を種々のイベントとして企画してきた出版社だ。

 同社は毎年『メイカーフェア』というアマチュアとプロのモノ作りの見本市も開催しており、これは年々反響が大きくなっている。3Dプリンターやロボット、IoT(インターネット・オブ・シングズ)に代表されるようなハードウェアへの関心が高まっているのが肌に感じられるようになっているが、ソリッドは、今年のメイカーフェアのすぐ後に開催され、ちょうどその発展形にも見えるようなイベントだった。

ビジネスの「境界」を越える
最先端テクノロジーの祭典

 オライリー・メディア創設者のティム・オライリーは、「メイカーフェアは家族連れが楽しめるようなイベントだが、こちらはビジネスのイベントだ」と説明する。実際、会議の話題や展示物も何か新しい産業の誕生を思わせるものだった。

 ソリッドのテーマは、いろいろな「境界」と言っていいだろう。ソフトウェアとハードウェアの境界、マシーンと人間の境界、ネットワークとデバイスの境界、大企業とスタートアップの境界、といったようなことだ。それを反映して、いつものシリコンバレーのイベントとはちがって、生物学者から宇宙科学者、重工業メーカー関係者など、幅広いバックグランドから参加者が集まっていた。

 ソリッドのプログラムチェアであるジョン・ブルナーと伊藤穣一(MITメディアラボ所長)の両氏は、オープニングスピーチで「さまざまな領域の間でハイブリッド化が進む中、重要なのはそれらを1つにまとめるデザインの感性だ」と語った。そして、「今やすべての企業がテクノロジー企業になった」と強調する。

リシンク・ロボティクスの「バクスター」に見入る人々 Photo by N.T.

 元MIT教授で、現在はリシンク・ロボティクスで新しいタイプのロボット「バクスター」を開発するロドニー・ブルックス氏は、「これまでのロボットは、一度プログラムされると10年以上も動きが変わることはなかったが、バクスターは数ヵ月ごとにソフトウェアがアップデートされて変化し、また人間とインタラクトして一緒に働くことができる」と語る。マシーンは固定したものではなく、ITとインターネットによってどんどん変化し続けるものになったということだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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