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スマートフォンの理想と現実

NTTドコモはなぜインドで失敗したのか

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第64回】 2014年7月2日
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 NTTドコモが、インド市場から撤退した。

 所定の業績を達成できなかったため、NTTドコモの持分法適用会社であるインドの通信事業者「タタ・テレサービシズ」の保有株式をすべて売却するオプションを行使した(報道発表資料)。先日開催された株主総会でも、持分法適用会社関連で計上された690億円の赤字の大半が、インドへの出資の損失であることが、明らかにされている。

 2009年からスタートした、インドにおけるジョイントベンチャー「タタドコモ」の挑戦には、私も大きく期待した。ようやく日本の通信産業が、通信事業者を中心とした姿で「産業輸出」できるように感じられたのだ。しかし、NTTドコモの海外への挑戦は、「今回も」残念な結果に終わった。

 それでも、先進国での派手なM&Aではなく、新興国で経済圏を作る動きは、これからの日本の通信産業にとって、挑戦を続けなければならないテーマである。ここで諦めてしまっては、中国勢の攻勢の前に、為す術なく立ちすくむばかりだからだ。

 なぜNTTドコモは、インドで失敗したのか。その検証は、日本の通信産業を(海外展開も含めて)お手伝いする私自身にとっても重要なテーマである。

 そこで今回は、インドをはじめアジアの新興国への進出支援で、もはや第一人者といっても過言ではない、インフォブリッジホールディングスの繁田奈歩代表と、NTTドコモの失敗について、検証してみたい。

派手な広告と価格政策で
認知拡大には成功、しかし…

――NTTドコモがタタと設置した合弁企業「タタドコモ」からの撤退を発表しましたが、タタドコモのこれまでの経緯は、現地からどのように見えたのでしょうか。

繁田 NTTドコモがタタに出資して「タタドコモ」を立ち上げたのは、2009年。その後2011年に増資に応じています。最初の出資ではGSMへの投資、11年の増資時点では3G回線への投資に主眼が置かれていたかと思います。

 当初、加入者が急増したことで、インド市場でも注目を集めました。これは、特定地域での料金プランがうまくはまったからなのではと、私は考えています。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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