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スマートフォンの理想と現実

モバイルの高度化は構想から実現、普及へ
いよいよ動き出した産業の地殻変動

――モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2014レポート【後編】

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第60回】 2014年4月10日
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 スペイン・バルセロナで開催された、世界最大のモバイル分野の展示会「モバイルワールドコングレス」(以下MWC、今年の展示会を指す場合はMWC2014)のレポートを、前回に引き続いてお送りする…といいつつ、すでに東京では桜が散ってしまった。またしても更新が遅れたことをお詫びします。

 さて、前回の文末で「MWC2014で日本勢はダメダメだった」と触れた。一方、すでに多くのMWC2014レポートがある中で、日本勢の健闘を伝える記事も少なからず見かける。そうした記事を読みながら、皮肉や反語ではなく純粋に、いろいろな見方ができるものだと思ったし、実際にも日本勢に対する評価は分かれているのが実態なのかもしれない。

 今回の日本の端末メーカーや通信事業者の展示について、私なりに結論づけると、「部品や通信インフラのサプライヤーとしては優れている面もあるが、最終製品のメーカーやサービスプロバイダーとしては色あせており、全体的にはポジション不在に逆戻り」というものだ。

ソニーはバルセロナへ何をしに来たのか?

 たとえばソニー。昨年はXperiaが世界的にも好調で、日本勢の中でも唯一気を吐くメーカーと目されていたが、今年のMWCでは率直に言って影が薄かった。新製品の発表もなく、ブースの展示も、テーマが定まっておらず混乱した印象を受けた。

 まず、大きな通路からブースに入って最初に目にするのは、スマートフォンやタブレットではなく、なぜかBRAVIA。CESではなく「モバイル」ワールドコングレスの会場で4Kテレビのアピールでは、正直「?」という第一印象を拭えない。

ソニーのCore Photo by Tatsuya Kurosaka

 めげずに奥へと進むと、ようやくモバイル端末にたどり着く。ただ、整然と並んではいるが、コンセプトがよくわからない並べ方だし、華やかさもない。今年は新製品の発表もないのだから、仕方ないのかもしれないが、その片隅にあるヘッドフォンなどの周辺機器の方が、目立っているくらいである。

 そして一番奥にウェアラブルデバイス「Core」があるものの、実際に手で触れてみるには、説明員に声を掛けないと見せてもらえない。そうして実際に触ってみたものの、もはや新鮮さはなく、手触りもガジェットとしてのギミックも、特筆すべきものは見られなかった。

(4月10日 10:00追記)
 と書いた矢先、ジャーナリストの方から「Xperia Z2等が新製品として発表されていたのでは」とご指摘をいただいた。BRAVIAもその4K出力の演出のため配置されていたという位置づけである。図らずも48時間の強行軍ではMWCを見て回れないことを露呈してしまった格好でお恥ずかしい限り。いずれもご指摘の通りで、お詫びして訂正します。

 言い訳がましいが、とはいえ正直、ソニーブースへの印象は大きく変わらなかった。MWC2014で発表されたXperia Z2や同M2の印象は、会場内ではあまり大きいものとは私には思えなかった。BRAVIAも「あれは一体?」という声を、海外の通信事業者やアナリストとの雑談で多く聞いた。また、M2は欧州向けと発表されているものの、日本市場を強く意識しているという同社関係者の声も、事実である。

 

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


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2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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