バンダイナムコホールディングスが誕生して9年。機動戦士ガンダムや仮面ライダーなど、キャラクターを軸にして収益を最大化させるマネジメントで組織改革とビジネスモデルづくりを進めてきた。その現状を追った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)
6月下旬、都内の大型玩具店で、60代の男性が孫と一緒にレジに並んでいた。
「これだけで1万円もするんです」と見せてくれたのは、「仮面ライダー鎧武(ガイム)」の変身ベルト(5500円)と武器(2800円)、ベルトに装着する鍵のようなロックシード(1500円)だ。
仮面ライダーの変身ベルトといえば、中央が赤く光るものを思い浮かべる人が多いだろう。だが今の変身ベルトは、ロックシードを変えることで、別の仮面ライダーになれるのだという。
今、こうした変身アイテムが大人気。さまざまな仮面ライダーになり切れるため、5~6歳の子どもたちがまるでコレクターのように集めまくっているのだ。少子化時代でも、孫のためなら祖父母たちの財布のひもは緩くなるようで、売り上げはうなぎ上りだという。
おもちゃ売り場だけではない。スーパーやショッピングセンターの菓子売り場には、機能が少ないラムネ付きロックシードが500円で売られているし、店の入り口に設置されているカプセル玩具自販機(ガチャガチャ)にもロックシードがある。
衣料品売り場には仮面ライダーのTシャツが売られ、ゲームコーナーには、仮面ライダーのカードを集めるゲームもある。
「消費者とのタッチポイント(接点)を増やすことで、仮面ライダーを身近なものにし、売り上げ拡大につなげる」(松原大典・バンダイ ボーイズトイ事業部ライダーマネージャー)戦略なのだ。