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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

落ちこぼれ水族館が「クラゲで世界一」に変わるまで
加茂水族館の名物館長が振り返る「波乱万丈半生記」

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第103回】 2014年7月22日
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「落ちこぼれ水族館」はどうやって
「世界一のクラゲ水族館」になったのか?

6月にリニューアルオープンした加茂水族館

 夏休みの家族旅行の行き先がまだ決まっていないという方々に是非ともお勧めしたいのが、山形県鶴岡市の加茂水族館だ。51種類ものクラゲを展示する「世界一のクラゲ水族館」(ギネス認定)である。2010年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が1日館長を務めるなど、小さいながらも話題豊富で見どころ満載の水族館だ。

 新館建設のため昨年12月から休館となっていた加茂水族館は、6月1日に「クラゲドリーム館」としてリニューアルオープンしたばかり。旧水族館の約2.2倍の広さとなり、展示内容はより充実した。

 なかでも圧巻なのが、直径5メートル(可視部分)の大水槽「クラゲプラネット」(今後、新たな名称に変わる予定)だ。2000ものミズクラゲが悠然と浮遊する光景を目の当たりにし、誰もが歓声を上げ、そして立ち尽くすのである。

 リニューアル後の加茂水族館は入館者で連日、大賑わいとなっている。6月の入館者数は9万3534人に上り、1日当たりでみると、過去3年の平均値の約4倍だ。加茂水族館はかつて「落ちこぼれ水族館」とまで言われ、年間入館者数が9万人台にまで落ち込む冬の時代が続いた。そんな過去を持つ水族館とは思えぬほどの爆発的なクラゲ人気である。

 だが、加茂水族館の素晴らしさは展示されているクラゲたちだけではなかった。やや大仰に言えば、この水族館には今の日本社会が学び、お手本とすべきものがたくさん存在した。

加茂水族館の村上龍男館長

 小中学校が夏休みに入る直前の7月17日、 鶴岡市の加茂水族館を訪ねた。最大の目的は、1967年から加茂水族館の館長を務め、「世界一のクラゲ水族館」に育て上げた村上龍男館長(74才)へのインタビューだ。

 約束の時間より早めに着いたので様子をうかがっていたら、どうやら先客は地元の小学生たち。それにしても数が多いなと思っていたら、授業の一環として村上館長に子どもたちがインタビューするという。それも理科の授業ではなく、道徳の授業とのこと。興味深かったので、同席させてもらうことにした。

 集まった児童は地元の小学校の3年生。3クラス合同授業なので大人数のはずだ。引率の先生が「落ちこぼれ水族館がどうやって世界一の水族館になったのか、村上館長にいろいろ質問してください」と大きな声で語りかけ、道徳の授業が始まった。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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