ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
真相――マイク・タイソン自伝
【第3回】 2014年8月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
マイク・タイソン

戦慄のKO劇でついにタイトル獲得!
史上最年少世界ヘビー級チャンピオンに!

1
nextpage

史上最年少で世界ヘビー級タイトルを獲得した天才ボクサー、マイク・タイソン。彼がその激動の人生を語った『真相──マイク・タイソン自伝』の邦訳版がついに発売! 本連載では彼にまつわる数々の伝説の“真相”を、同書から抜粋して紹介します。
第3回は、デビュー以来KOの山を築いて快進撃を続けたタイソンが、いよいよ世界タイトルに挑戦する場面をお送りします。「宇宙遊泳」とまで称された戦慄のKOシーンは多くの観客に強烈な印象を残しました。

プロボクサーとしてデビューを果たしたタイソンは、圧倒的な強さで連戦連勝。しかし世界チャンピオンが視野に入った頃、最大の理解者で最高の指導者であったカス・ダマトが病のため帰らぬ人となる。タイソンはカスの遺訓を胸に、最年少ヘビー級チャンピオンを目指すが、次第に人生における目標を見失い始める。そしてついに世界ヘビー級タイトル挑戦の日を迎える。

運命の日

 試合当日、午後1時にパスタをつまむ。4時にステーキ。5時にまたパスタをつまんだ。控え室で〈スニッカーズ〉を食って、オレンジジュースを飲んだ。

マイク・タイソン(Mike Tyson)
1966年生まれ。アメリカ合衆国の元プロボクサー。1986年にWBCヘビー級王座を獲得、史上最年少のヘビー級チャンピオンとなる。その後WBA、IBFのタイトルを得てヘビー級3団体統一チャンピオンとして君臨。しかし2003年に暴行罪によって有罪判決を受けるなど数々のトラブルを巻き起こし、ボクシング界から引退。アルコール・麻薬・セックス中毒のどん底状態から過去の自分を反省し、自己の人生を語るワンマンショーで成功を収め、新たな幸せと尊敬を得る。2011年、国際ボクシング殿堂入りを果たす。2013年に『真相:マイク・タイソン自伝』を上梓。(Photo:© Bettmann/Corbis)

 いよいよケヴィン・ルーニーが俺の両手にバンデージを巻いて、グラブをはめてくれた。入場のときが来た。アリーナは肌寒かったから、ケヴィンがタオルを切って首を覆ってくれた。俺は黒のトランクスを穿いていた。何試合か前から黒に変えていたんだ。チャンピオンのトレヴァー・バービックも黒だったから5000ドルの罰金を払うはめになったが、べつにかまいやしない。とにかく相手に不吉な予感をいだかせたかったんだ。

 挑戦者の俺が先に入場した。TOTOの歌が流れていたが、頭の中にはフィル・コリンズの『夜の囁き』だけが聞こえていた。“今夜、願いがかなう。そんな気がする、おお、神よ。この瞬間をずっと待っていたんだ、おお、神よ”。

 ロープをくぐってリングをゆっくり回った。客席を見ると、カーク・ダグラスやエディ・マーフィやシルヴェスター・スタローンの姿が見えた。しばらくしてバービックが入場してきた。黒いフードのついた黒いガウンをまとっている。自惚れと自信を発散していたが、俺には見かけ倒しの幻のように感じられた。やつには命を捨ててまでもベルトを守る気骨はない。

 モハメド・アリが観衆に紹介され、俺に近づいてきた。

 「俺のかわりにぶちのめしてくれ」と、アリは言った。

 5年前、アリはバービックに敗れ、試合後引退した。だから俺は喜び勇んで応じた。

 「楽勝だ」と、モハメドに請け負った。

 ついに戦いのときが来た。ゴングが鳴り、レフェリーのミルズ・レーンが開始の合図をした。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


1966年生まれ。アメリカ合衆国の元プロボクサー。

1986年にWBCヘビー級王座を獲得、史上最年少のヘビー級チャンピオンとなる。その後WBA、IBFのタイトルを得てヘビー級3団体統一チャンピオンとして君臨。しかし2003年に暴行罪によって有罪判決を受けるなど数々のトラブルを巻き起こし、ボクシング界から引退。アルコール・麻薬・セックス中毒のどん底状態から過去の自分を反省し、自己の人生を語るワンマンショーで成功を収め、新たな幸せと尊敬を得る。2011年、国際ボクシング殿堂入りを果たす。

真相――マイク・タイソン自伝

刊行直後から全米で大きな話題を呼んだ、史上最強かつ最凶の男マイク・タイソンによる『真相──マイク・タイソン自伝』。歴代最年少ヘビー級チャンピオンとなった男の破天荒な人生とは?
300億円の稼ぎ手から破産者、そして麻薬・アルコール・セックス中毒にまで落ちたタイソン。その彼がドン底から再生する姿を感動的に描いた自伝のハイライト部分を紹介していきます!

「真相――マイク・タイソン自伝」

⇒バックナンバー一覧