政府が6月に発表した「成長戦略」では、「活力ある地方の実現無くして成長戦略の成功は無い」と言い切るなど、地方再生への意識は高い。地方の経済を再生して雇用を生み、公共施設などを再編して、長きにわたり人が住み続けられる地域を作ることを目指しており、個々に見れば望ましい政策が盛り込まれたといえる。
ただし、地方では、生産性の高い製造業が流出傾向にあるなか、それを過度な補助金や公共事業で無理につなぎ止めようとすると、逆に国全体の活力低下を招くことにつながりかねない。成長戦略の思惑通り、地方再生と国全体の成長を両立させることは容易ではない。
東京の生産性の伸びは他地域以下
地方再生なくして日本の成長はない
6月、「日本再興戦略改訂2014」と「骨太の方針」が発表された(以下、特に断りない限り、両者合わせて成長戦略とする)。日本再興戦略の一節に、「活力ある地方の実現無くして成長戦略の成功は無い」という一文がある。このような地方再生に向けた不退転の決意ともとれる意欲的な表現が盛り込まれた背景には、東京に人が集まることで、より多くの富を生み出し、わが国全体の経済成長をけん引するという一極集中型の成長モデルに疑念が生じ始めたことがある。
過去10年の各地域の経済成長率を人口要因と生産性要因に分解してみると、東京圏は人口増により比較的高い成長率を維持しているものの、生産性の伸びが他地域に比べ見劣りしていることは否めない(図表1)。東京圏への人口流入が効率的に経済成長に結びついていないことを意味している。