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世界がもしご近所さんだったら

「ノマノミクス」で潤う“ヨーロッパの東北”
デンマークに学ぶ地方再生のヒント

まがぬまみえ
【第12回】 2013年6月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 今から100年以上前のこと。キリスト教思想家の内村鑑三氏はある講演で、デンマークについてこう語った。

 「今、単に経済上より観察を下しまして、この小国のけっして侮るべからざる国であることがわかります。この国の面積と人口はとてもわが日本国に及びませんが、しかし富の程度にいたりましてははるかに日本以上であります」

前編に続くデンマーク大使館の広報官、イェンス・イェンセンさんへのインタビュー、後編はこの内村氏の話にも通じる「富とは何か」がテーマだ。

 まずは、デンマーク経済を活性化させたと評判の「ノマノミクス」の話から始めてみよう。

世界が注目する
「ノマノミクス」とは何か?

――ところで、デンマークと言えば気になっていることがあります。アメリカの『TIME』誌が今年2月、「1レストランがいかにしてデンマークの経済を変えたのか?」と題してデンマークの「ノマノミクス」に関する記事を載せましたね?

デンマーク大使館の広報官、イェンス・イェンセンさん。日本名は「ヤマザキ・タロウ」

 それ、僕も読みました。

――ノマノミクスの「ノマ」はデンマークの首都、コペンハーゲンにあるレストランの名前で、地元の食材を使った北欧料理を開発し、世界のレストランランキングで3年連続1位を獲得しています。記事によると、その影響でコペンハーゲンにはたくさんの観光客が訪れるようになった。食材を作る農家やそれを加工する業者も恩恵を受けているそうですね。

 そうした動きをプロデュースしたのは、レストランの共同経営者、クラウス・メイヤーです。

 ノマノミクスが注目されるずっと前の2004年、彼が「北欧のすべての人の利益に供すること」などを目的に「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ」のマニフェストを掲げました。これが1つのきっかけとなって、北欧の食材や食文化を見直そうというムーブメントが起きました。

 というのも、それまで、デンマーク料理には伝統と言えるものがほとんどありませんでした。マニフェストをきっかけに、みな自分たちの食文化に誇りを持つようになったことが大きかったと思います。そこには、地理的にも近いフランス文化への対抗意識というか危機感もありました。ほんの少し前まで、ヨーロッパで高級料理と言えばフランス料理を指していましたから。

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世界がもしご近所さんだったら

メディア論で知られるマーシャル・マクルーハンは1960年代、「グローバル・ビレッジ(地球村)」という概念を提唱し、大いなるセンセーションを巻き起こしました。世界がやがて1つの村のようになるという彼の予言はすっかり現実のものとなり、わたしたちに様々な意識変革を迫っています。

物理的・経済的に世界との距離が縮むほど、心理的・文化的には目に見えない摩擦が増えていくもの。村におけるご近所づきあいのコツは、信頼できる茶飲み友だちに聞くのが一番。という訳で、“村の掟”に詳しいご近所さんやその道のツウを探し、訪ねてみることにしました。21世紀を生きるビジネスパーソンには欠かせない、世界との良好なつきあい方を探っていきます。

「世界がもしご近所さんだったら」

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