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石川和男の霞が関政策総研

マンション・団地向けLPガス料金規制が撤廃へ!?
誰も反対しない不可解な“消費者利益の大損失”

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第27回】 2014年8月25日
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厳しい公益事業規制を課した
簡易ガス事業制度

 日本の大半の家庭では、厨房や給湯において、ガス(天然ガスかLPガス)を利用している。天然ガスの大半は輸入LNG(液化天然ガス)によるもので、「都市ガス」として供給される。LPガスの大半は輸入LPG(液化石油ガス)によるもので、「プロパンガス」と呼ばれることもある。

 日本のガス需要世帯は、天然ガス(都市ガス)とLPガス(プロパンガス)でほぼ半数ずつ分け合う。平成24年3月末現在、都市ガスは約2890万世帯、LPガスは約2540万世帯となっている。今回の話の主役は、都市ガスではなく、LPガスだ。

 LPガスの事業形態は、資料1にあるように、①個別供給(一戸建て住宅などへのLPガス容器の設置)、②小規模導管供給(集合住宅や団地への「導管供給」のうち69戸以下のもの)、③「簡易ガス事業」(集合住宅や団地への「導管供給」のうち70戸以上のもの)の3つに大別される。

 なお、現行では、①と②は液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)に規定される「液化石油ガス販売事業」、③はガス事業法に規定される「簡易ガス事業」となっている。

 なぜこのように事業形態が分かれてきたのか。LPガスの歴史をかいつまんで見ておこう。

 LPガスが日本の家庭消費者向けの燃料として利用され始めたのは昭和30年代で、それまで使われてきた木炭や練炭に代わって普及した。当時は容器(「ボンベ」、「シリンダー」とも呼ばれる)にLPガスを充填して各世帯に取り付ける供給方式が主流であった。

 昭和40年頃から都市周辺部で住宅団地の造成が急速に増え、これらの団地にはLPガスを導管で供給する方式が多く採られるようになった。これは都市ガスほど大規模な需要家を抱えるものでなかったが、導管によりガスを供給するという点で都市ガス事業(一般ガス事業)と類似の性格を持っている。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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