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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

キリンビールの地盤沈下が止まらない?
CVP分析や限界利益は経営判断を誤らせる元凶

高田直芳 [公認会計士]
【第140回】 2014年9月12日
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再編成の嵐が
吹き荒れる飲料市場

 かつて賃貸アパート経営者の節税策として、自動販売機の設置が利用されたことがあった。人通りの少ないアパートの裏手に自動販売機を設置して、「もうかるのだろうか」と不思議に思ったことがある。当時は、制度の抜け穴を見事に突いた節税策であった。

 消費税還付を狙って設置された自動販売機とは異なり、東京の駅などに設置される自動販売機は日々、技術革新のカタマリみたいなところがある。飲料を買うよりも、映し出される画面表示に、筆者は「へぇ~」と感心してしまう。オムロンの「セグメントセンサー」という機能らしい。

 オムロンによる画像情報の流用問題はともかくとして(ニュースリリース)、飲料市場はここ数年、再編の嵐が吹き荒れている。

 『会社四季報業界地図2014年版』を参照すると、業界1位のコカ・コーラボトラーは、イーストとウエストに集約されつつある。サントリー食品インターナショナルは、株式上場でいきなり業界2位に登場だ。

 アサヒグループホールディングス(以下、アサヒGHD)は、カルピスなどを買収したことにより、伊藤園を抜いて3位に躍り出た。キリンビバレッジは、4位の伊藤園に次いで業界5位に甘んじる。

 ビール市場に目を転じると、キリンビールは世界10位であり、アサヒGHD(世界12位)を上回る。ところが国内市場では、キリンビールはアサヒGHD(アサヒビール)の後塵を拝して業界2位にとどまる。

 2014年12月期では、「業界万年4位」といわれてきたサントリーホールディングス(非上場)が、酒類分野の首位に躍り出ると予想されている。飲料市場もビール市場も、キリンホールディングス(以下、キリンHD)の旗色は悪いようである。

 FIFAワールド杯ブラジル大会で、キリンHDは公式スポンサーとして大々的なテレビCMを仕掛けたにもかかわらず、日本代表が予選リーグで敗退してしまったのは誤算であったろう。これでは露出度が足りず、宣伝効果も半減である。しかも未明の試合では、ビールを片手に観戦、というわけにもいかなかった。

 そうした販売戦略の巧拙はメディアの分析に任せるとして、本連載ではキリンHDやアサヒGHDの決算データを拝借しながら、経営分析の面に焦点をあてて、特にキリンHDの経営戦略を問うてみることにする。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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