テレビ「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」で紹介! 幼稚園児~小学生を「メシが食える魅力的な大人に育てる」ことを主眼とした学習塾「花まる学習会」の「本当に頭がいい子の育て方」を徹底解説! 作文・読書・思考力・野外体験を重視したユニークな教育手法は全国で多くの支持を得ている

いじめには「やめろ!」と
拒否を示す勇気を持つ

「わが子が、いじめの対象に?」<br />いじめられない子どもの特性とは?花まる学習会 代表
高濱正伸(たかはま・まさのぶ)

1959年、熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。同大学大学院修士課程修了。1993年、小学校低学年向けの「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を重視した学習教室「花まる学習会」を設立。同時に、ひきこもりや不登校児の教育も開始。1995年には、小学4年生から中学3年生対象の進学塾「スクールFC」を設立。教育信条は、子どもを「メシが食える大人に育てる」こと。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」をはじめとするテレビ出演のほか、ラジオ、雑誌、新聞などにおいても、そのユニークな教育手法が紹介されている。著書の累計売上100万部超。

 子どもの社会も、大人の社会も、人が他人に優越感を持ちたがるかぎり、「世の中から、いじめがゼロになることは、現実的にはない」でしょう。

 ということは、「いじめはいつでも起ころうとする。では、どう対処するか?」という認識を持ったうえで、子どもを見守るべきです。そうでないと、対応を誤ってしまうでしょう。

 いじめをはねのける力になるものはいくつかあります。ひとつは、とても自信のある得意技、得意分野を持っていること。毅然たる態度が撥水(はっすい)加工のように、いじめの
言葉をはじき返します。

 もうひとつは、「ケンカのやり方を覚えること」です。

 加藤哲郎くん(仮名・小学3年生)のお母さんは、「子どもを『花まる学習会』から退塾させたほうがいいのではないか」と悩んでいました。
 その理由は、学校で加藤くんをいじめていると目星をつけていたクラスメイトが、「花まる学習会」に入塾してきたからです。

 そのことを知った指導員の和泉潤平先生は、
「お母さん、このまま哲郎くんを退塾させても、根本的な解決にはなりません。私が哲郎くんに、身の守り方を伝授します」
とお母さんを説得して、引き止めたのです。

 それまでの加藤くんは、嫌がらせを受けても、「やめろ!」と払いのけることができませんでした。いじめる側も、はじめは、いたずらや悪ふざけのつもりだったのかもしれません。

 でも、加藤くんが弱気で抵抗しない態度を取っていたため、だんだんエスカレートしていったのでしょう。弱気な部分を見せると、いじめる側は、先生に見つからないように、その弱点を突いて襲いかかってきます。

 そこで和泉先生は、加藤くんに「やめろ!!!」と大きな声を出させながら、手のひらを相手のほうに強く差し出す練習をさせました。

 最初は弱弱しい声と手のアクションでしたが、何度も大声を出し、何度も手のひらを差し出させていると、しだいに目つきも真剣になります。

子どものケンカは、力よりも「気合い」で決まりますから、大きな声で「やめろ!!!」と切り返すことができれば、ちょっかいを出されることはなくなるのです

 加藤くんは、しだいに、体感覚(声と動作)として、「気合い」を示すことができるようになり、誰からもいじめられなくなったといいます。

教室中に響き渡るほどの大声で「やめろ!!!」と叫べる子どもを、いじめることができる同級生はいません。いじめがなくなったと思われた後からは、勉強も楽しめるようになり、加藤くんのお母さんは、「奇跡みたいです!」と喜んでいました。

 たとえいじめにあったとしても、弱気をみせない。「やめろ!!!」と言い返す「気合い」を示す。
 現状を打破する強い意志を持てれば、嫌がらせの対象になることはありません。それどころか、「人から頼られる魅力的な存在」に変われるのです。

 親が子どもに教えられるひとつのカードは、「嫌だ!」「やめろ!」と大きな声で「拒否を示す勇気」なのです。