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日本はイスラム圏の観光客を呼び込めるか
飲食店が直面する「ハラール食」への希望と高い壁

樋口直哉 [小説家・料理人]
2014年9月25日
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服部栄養専門学校で行われた『ハラール調理のセミナー』。写真は、シェフのファルーク・オットマンさんがデモンストレーションを行う様子

 9月15日、東京都代々木にある服部栄養専門学校でマレーシアのハラール認証機関であるHDC(ハラール産業開発公社)から講師を迎え『ハラール調理のセミナー』が開催された。

 ハラールとはアラビア語で『許された』という意味の言葉で、イスラム教の教義に則った商品やサービスを指す。食品をはじめ、物流や医薬品、イスラム金融なども含まれる産業の鍵となる要素だ。イスラム教徒にとってハラール食品を食し、ハラール商品を使うことは義務なのだという。

イスラム教徒が日本旅行を躊躇する
「食」にまつわる不安

 セミナーの開催に先立って観光庁や農水省の方々が挨拶を述べる場面があった。このところの政府はもハラール対応には熱心だ。

 国は、政府は観光立国のための行動計画を作成し、2020年の東京オリンピックまでに訪日外国人の数を2倍にするという目標を掲げている。そのためには東南アジアからの観光客を増やすのは至上命令。ところが例えばイスラム教徒の多いマレーシアでの人気の旅行先はシンガポールやインドネシアで、日本を訪れる観光客の数はまだ少ない。マレーシアから訪れる観光客の「一人あたりの消費額も11万円~12万円と韓国や台湾、香港より多い」(京都新聞8月29日(夕刊))とのことで、経済的にも期待は大きい。

 国連世界観光機関の調べによると、イスラム教徒が『旅行時になにを重視するか』という質問に対する答えの1位は「ハラール食」、2位の「費用」を挟んで、3位は「ムスリムフレンドリー」となっている。つまり彼らが日本を訪れることをに躊躇する大きな不安点は『食』なのだ。

 開催に先立って帝国ホテルの総料理長、田中健一郎さんが挨拶を述べた。

 「我々も含めて日本の飲食店のハラール対応には心細いものがあります」

 たしかに日本社会のマイノリティであるイスラム教徒を対象としたサービスはまだ少ない。そうしたことを踏まえての飲食店向けのセミナーが開催される運びとなった。

 意外なことに飲食関係者を対象にした実際的な講座を含むセミナーは日本ではじめて。満席の会場から多くの質問が飛んだ。

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樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


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