「引きこもり」のタイプを40に細分化したうえで、大きく6つに分類し、こうした傾向を知ることによって、当事者との「心の距離が近くなるのではないか」

 そう語り、孤高の啓蒙を行う当事者がいる。

 山形県で「発達障がい家族会mamoruno」をつくり、当事者目線の個人活動を続ける高村孝子さん(45歳)だ(「高」の字は正確には「はしごだか」)。

 高村さんは、『誰でも自己管理できる当事者のためのチャレンジドガイド』など、いろいろな資料を作成して、研究会などで専門家に見てもらったり、つながりを求めたりしてきた。

「もしかしたら自分も引きこもりなのではないかと感づきながら、特定的な診断名を受けていない人の中にも、当てはまる可能性のある人がいる。また、正体がわからないまま、長年、苦しんでいる人たちもいます。もっと引きこもりを身近に感じてもらえるきっかけになりたくて、思いつきで書き出してみたんです」

 こうして少しずつ傾向を書き溜めていったら、1週間もかからないうちに、40もの「引きこもりの分類」が出来上がった。

“外出できる引きこもり”だった高村さん
40代に「広汎性発達障害」と診断

 高村さん自身もこれまで、社会でうまくいかないことがたくさんあった。

 外出はできたものの、心の状態が引きこもりの分類に当てはまると思ったことが多々あった。自分のように、“外出できる引きこもり”もいる。

 40代に入って、初めて「広汎性発達障害」という診断を受けた。

 当初は「あなたの個性です」と言われて「あなたは、どこも悪くない」と独自に解釈をしてしまい、経過観察を中断してしまったこともあった。

 苦しんできたのは、自分の特性のためであって、「あなたは、どこも悪くない」と言われ、ホッとした反面、受け入れられない心と現実の間で葛藤した。

 そうした自分の経験を当事者研究するほかに、ピアサポート会議や居場所を求める精神疾患を持った友人・知人の話を聞いて、自分と違う症状の人でも、引きこもることがわかった。