ついに山が動いた。9月26日、住宅・設備業界最大手のLIXILが、木造住宅やマンションの新築・リフォームに使う建材・設備機器の一部で、約6年ぶりとなる大幅値上げ(価格改定)を打ち出した。

LIXILの誕生で、サッシメーカーは3社に、衛生陶器メーカーは2社に集約された。流通業者にとっての選択肢は、実はそう多くない
Photo by Toshiaki Usami

 2011年4月に、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が合併して新会社LIXILが発足してから初めての価格改定であり、全製品の10~20%が対象になる。

 LIXILは、2段階に分けて希望小売価格の改定率のアップを目指す。内訳は、14年11月1日受注分より、インテリア建材が2~4%程度、トイレ・洗面化粧台が3~5%程度、浴室が5%程度、タイル建材が10%程度、窓・シャッターが2~15%程度。15年2月1日受注分からは、窓・シャッターが2~6%程度、玄関ドア・引戸が3~5%程度、タイル建材が10~30%程度となる。

 国内では、すでにAGC旭硝子や日本板硝子などのガラスメーカーや、YKK APなどの窓・サッシメーカーが、この秋より建築用ガラスの価格を10~20%程度引き上げる方針を打ち出していた。

 LIXILの価格改定で、最も値上げ幅が大きいのは、断熱性や遮熱性に優れる“建築用複層ガラス”で、12~15%程度と強気の姿勢で臨む。それもそのはず、ガラスは、原材料のほぼ全てを輸入に依存しており、各種加工のための燃料価格も高騰しているからだ。それで、「もはや企業努力のみで吸収することは限界」(LIXIL)という大義名分が立つし、値上げの正当性も訴えやすくはなる。