この世は勝ち組と負け組に分かれる、残酷な弱肉強食社会である。でも、この社会がどのように生まれたのか、なぜ今のような仕組みになっているのか、最低限の教養として知っておきたいところ。経済についてよくわからないまま社会人になってしまった人に、代ゼミの人気No.1講師が面白くわかりやすく教える、「経済史」学びなおし講義。

 僕たちは今、資本主義社会の中にいる。考えてみれば資本主義というのは、おかしな考え方だ。なぜなら資本主義では、企業が倒産し、失業者が増え、貧困にあえぐ人が多ければ多いほど“健全に発展している”と表現するからだ。

 なぜか? それは資本主義が“競争”を基本原理としているからだ。競争は人間を勝ち組と負け組に分け、その競争が進めば進むほど、勝ち組の数は少なくなる。それが競争のルールであり、それが守られている状態を“健全”という。

 そりゃそうだ。夏の甲子園のトーナメント戦で、最後にPL学園だけが残っているのを見て「おかしい」なんて言うやつはいない。なぜならみんな、競争のルールを理解し、最後に残っている者が競争の勝者であることを認識しているからだ。資本主義の自由競争だってそれと同じだ。何ら変わるところはない。

 では、なぜ僕らは競争社会をよしとするのか? それは人間が元来、利己的で欲望まみれにできているからだ。僕が大学の経済学部でいちばん最初に学んだことは、「経済学は欲望の体系である」ということだった。そこには個々の利己心のみが入り乱れ、みんな少しでも人より得したい、自分だけ幸せになりたい、社会的に成功したいと考えて行動する。それが人間の本性であり、経済学の本質なのだ。

 それは違う! 俺は全人類が幸せになることを心から願っている! こう反論する人もいるだろう。でもそんな人は、逆を考えてみればいい。つまり「みんなで得をする、みんなで成功する」ことができるかと。そうすればその考えが、いかに実社会でリアリティがないかに気づくはずだ。