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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「CPI前年比+2%」の時間軸が柔軟化
日銀はフォワードガイダンスの再設計へ
――森田京平・バークレイズ証券
チーフエコノミスト

~“Dual Forward Guidance”から“Single Forward Guidance”へ

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第151回】 2014年10月15日
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黒田日銀総裁:
柔軟化する「2年」

 9日、黒田日銀総裁はニューヨークで「日本経済:慎重論に答える」と題して講演をした。経済、物価、金融政策など幅広い内容であったが、最も印象に残ったのは「2年」がどこにも出てこなかったということだ。

 「2年」とは言うまでもなく、「CPI前年比2%」という「物価安定の目標」の達成時期の目処である。「量的・質的金融緩和」(以下、QQE)が始まったのが2013年4月であることから、「2年」はおおむね2015年半ばと解釈できる。

 この講演より前に、黒田総裁が金融政策について講演をしたのは9月18日だが、そこでは「2014年度から16年度までの日本銀行の経済・物価見通し期間の中盤頃」とされた。「2年」とは明言していないものの、ある程度「2年」が意識されていた。

 ところが前述のニューヨークでの講演では、「2015年度を中心とする期間」となっていた。実際の講演で使われた言語である英語では、「in or around fiscal 2015」となっており、「2015年度前後」と読める。9月18日の講演と比べると、随分と「2年」が柔軟化してきたという印象を否めない。

物価:
期待インフレ率の上昇を
示唆する材料は少ない

 下方屈折は避けながらも、景気が停滞色を帯びている。こうした中、消費者物価指数(CPI)の前年比変化率は、消費税率引き上げの影響を除くと、プラス幅が広がりにくくなっている(図表1参照)。たとえば、日銀も注目する「コアCPI」(生鮮食品を除く総合CPI)は4月の前年比+1.5%(消費税率引き上げの影響を除く)を直近のピークとして、8月には同+1.1%とプラス幅が縮小している。

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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

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