無関係ではない肥満と学力
学校種別で異なる傾向

 今回、健康診断のデータを調べてみて、過体重と偏差値に逆相関があるという結果が出ました。ただそれが、食育への取り組みによる差なのか、個人のモチベーションに関連するものなのかは定かではありません。

 もしモチベーションによる過体重率の低さが、学力(偏差値)と関係があるというのであれば、継時的な過体重の変化率(高校1年生から3年生まで)を調べることにより、その可能性の有無を判断する材料が提供されることになります。

 図は、子どもの肥満と学力の相関について示したグラフです。より詳しくは、「週刊ダイヤモンド別冊」2014年10月2日号の記事(62~65ページ)に譲りますが、ここではその結果について、かいつまんで述べていきます。 

食育と健康診断〈上〉 <br />肥満と学力の関係

 綜友会で健康診断を行っている都内の私立中学高校は62校あります。学力を示す指標として偏差値を利用しながら、健康診断結果で分析したところ、全体で過体重率(肥満度+10以上が全体で示す比率)と偏差値の間には中程度の逆相関が見られました。なお、対象校には中高一貫校も高校単独校もあるため、ここでは高校生の数値だけで比べてあります。

 つまり、学力が高いほど肥満の度合いは低い、という結果でした。個々の数値分布を見て行くと、より興味深い現状がうかがえます。

 まず男子校ですが、中位校から下位校では過体重率が25%前後なのに対して、難関校は20%を割っています。上下の差は10ポイント程度となっています。

 一方、女子校は過体重率が30%の学校から8%の学校まで開きが大きく出ました。難関校は概ね10%程度ですが、中位校から20%台が散見されるようになります。また、やせぎみを示す値は15%から31%まで倍近い開きがあります。こちらは必ずしも偏差値と相関している様子はなく、ミッションスクールで25%超の学校が多いことも考えると、校風の影響も考えられるかもしれません。