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理想主義から“現世御利益”に目覚めた!?
「グーグルY」が進めるリアルな都市研究

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第317回】 2014年10月22日
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ネット広告で稼げなくなる時代への危機感

 「グーグルX」と言えば、自律走行車からグーグルグラス、そして代替エネルギーや成層圏に飛ばした風船でインターネット接続を提供する実験など、世離れしたビジョンで知られるグーグルの研究開発部門だ。いや、アイデアとしては「世離れ」しているが、その研究を押し通して現実のものにしてしまうことも事実だ。

 そのグーグルXに次ぐ研究所「グーグルY」が、1年ほど前から同社に設置されているのだという。グーグルYの課題の中心にあるのは、現実の都市や空港だ。

 グーグルの中でも最たるビジョナリーとして知られるCEO(最高経営責任者)のラリー・ペイジは、約1年前に100名ほどの社員を集めてミーティングを行い、次世代グーグル「グーグル2.0」のビジョンを告げたという。その内容は、もはやインターネット広告によって収益が上げられなくなった時代に、グーグルが何をしているべきかというものだった。

 そこで出てきたのが、新しいタイプの都市や空港をつくるという計画だ。

 自律走行車やIoT(モノのインターネット)の時代になると、否が応にも現実のリアルな世界が関わってくる。

最初のテーマは
都市間のモビリティ

 世界の形やあり方のデータを獲得することも重要だが、そこで生み出される新たなデータは大きな商機だ。また、そうしたデータを用いて、都市やモビリティ(移動手段)を最適化することも期待されている。グーグルが都市や空港に関心を向けたのは、そうしたデータ化された都市とモビリティー、いわゆるスマートシティと呼ばれるものが対象だろう。

 モビリティでは、テスラ・モーターズ創設者のイーロン・マスクが、サンフランシスコとロサンゼルスを30分で結ぶ超高速移動手段の「ハイパーループ」を提案したことが記憶に新しい。

 ハイパーループは時速962km。果たして人間がこんな高速での移動に耐えられるのかも議論されているが、マスクは、ポッドと呼ばれる小さな車両が減圧されたチューブの中を走るこの構想は、技術的に実現可能だと主張している。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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