経営のためのIT
【第28回】 2014年10月24日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

利害の対立を乗り越えれば、最強集団になれる
――グループ経営とITガバナンス

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立ちはだかる利害の不一致

 グループITガバナンスの構築および強化は、多くの企業にとって重要課題であり、これまでもグループITガバナンスに関する評価手法や構築プロセスについてさまざまな議論がなされてきた。

 一方で、自社グループのITガバナンスの現状を把握でき、ガバナンスの構築プロセスが理解できてはいるものの、実際にグループ各社を巻き込んでガバナンス強化への取組みを推進することに困難を感じているという声が多く聞かれる。

 本社IT部門やグループ各社にITサービスを提供するグループ内情報システム会社では、ガバナンスの欠如がシステムの複雑化やITリスクおよびコストの増大の原因となることを理解しており、ガバナンスの必要性や重要性を強く認識している。

 一方で、グループ企業の経営者や各社のITスタッフは、自社の便益を優先するために過度な統制を拒む意識が芽生えがちである。こうした利害関係者の間で、コンセンサスを得ながらITガバナンスの強化を推進するためには、強力なリーダーシップと粘り強い啓発が必要となる。

 リーダーシップを発揮するためには、まずは、経営層自身が、なぜグループITガバナンスが必要であるかを、的確に説明できなければならない。

 また、必ずしも利害が一致しないグループ各社の経営者やITスタッフからの協力を取り付けるためには、すべての関与者の間でグループITガバナンスの意義と目的について、共通認識を形成することが第一歩となる。そのためには、図1で示した6つシナジーのうち、どれとどれを重視するのかを経営者が明確に示すことが求められる。

 これを踏まえて、グループITガバナンスの推進にあたって、まずは、原点に帰って自社グループにおけるITガバナンスの意義を定義することが求められる。ここでは、グループITガバナンスの意義を(1)コスト低減/投資抑制、(2)グループとしての業務の効率化、(3)リスクの軽減と回避、(4)人材とノウハウの有効活用、(5)新規付加価値の創造への布石の5分野10項目で整理し説明する(図2)。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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