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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

為替はやっぱり「達磨さんが転んだ」
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第152回】 2014年10月29日
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ゲームのルールを決めるのは
やっぱり米国

 足もとで市場の揺り戻しは生じたものの、今年9月以降、為替の円安が急に進み、一時は110円台と2008年以来となる6年ぶりの円安水準になった。筆者が為替について長らくストーリーラインとしてきたのは、「達磨さんが転んだ」とした考えだった。

 下の図表にあるように、戦後の為替の5年、10年といった中期トレンドの転換は、すべて米国サイドにあったとし、「ゲームのルール」を決める「鬼」としての主導権はいつも、米国サイドにあったとするものだった。

 その論点から見て2000年代以降は、図表中の(6)のように2007年以降、米国が大恐慌以来とも言えるバランスシート調整になったなか、異例の量的緩和であるQE1、QE2、QE3を実質的に用いて自国通貨安政策を行ったことが、極端な円高につながった。

 一方、2013年以降、米国のバランスシート調整が進展し、米国が自国通貨安政策を転換させたことで、図表中の(7)で示した為替の転換が生じた。

2013年以降は
5年単位の円安基調に入った

 筆者がストーリーラインとして、2013年以降円安基調に転じたとした認識の背景には、以上の考え方があり、足元の状態は5年単位での円安局面にあるとするものだ。

 そこでは、今日ポイントとなる米国サイドの状況は、今年10月3日に発表された9月の雇用統計が予想以上に改善したことも含め、金融緩和の出口観測が強まる中ではドル高の潮流は続きやすいとするものだ。今のところ、これまで為替政策に影響を与えてきた米国の産業界のドル高不満もあまり顕現化していない。

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高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

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