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金融市場異論百出

バーナンキも避けた禁じ手発動
出口が遠のく“黒田砲”第2弾

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2014年11月10日
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 無限にマネーを創造できる中央銀行が株を大胆に購入すれば、株価を押し上げられる。10月31日、日本銀行が決定した量的質的緩和策第2弾(QQE2)における、年間3兆円のETF(上場投資信託)購入は事実上それに当たるだろう。

10月31日の金融政策決定会合後の会見で、追加緩和について説明する黒田東彦・日本銀行総裁
Photo:REUTERS/アフロ

 同日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式組み入れ比率の引き上げを発表したことと相まって、日経平均株価は急騰した。ただ、中央銀行が株価押し上げを狙って市場に介入するという行為は、かなりの禁じ手だ。

 主要国で近年それを行った中央銀行はない。百歩譲って、金融恐慌下で市場に買い手が現れず、株価が大幅にアンダーバリューになっているときは、緊急避難的に中央銀行がETFを買えば市場を勇気づけられるだろう。恐慌が沈静化して市場が冷静になれば株価は回復し、中央銀行は株を売却して利益を得ることができる。

 しかし、日銀のETF購入は株価をオーバーバリューに持っていこうとする政策だ。しかも、2016年末のETF保有額は10兆円近くに及び、すさまじい価格変動リスクを抱える中央銀行になる。

 株価は将来の企業収益の予想で決定するので、日銀が株価をつり上げたら「ETF購入を減額する」と言うだけで日経平均株価は下落するだろう。ETFの売却はさらに困難だ。株価を下げたら政治的な圧力がかかる上に、日銀は大きな含み損も抱えることになる。出口が極めて見えにくい政策だ。だからこそ、バーナンキ前FRB(米連邦準備制度理事会)議長も株の買い入れは避けたのだろう。

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