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解散総選挙なんか、やっている場合か?
よくわからない安倍首相の決断に募る疑心暗鬼

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第353回】 2014年11月25日
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争点は消費税かアベノミクスか?
やはりわからない解散・総選挙の意味

 今回の安倍首相の衆院解散・選挙の判断はよくわからない。衆院で与党は圧倒的多数を占めているにもかかわらず、議席を減らす選挙を突然行う。専門家の中にも首をかしげる人がいるという。知り合いの政治評論家の1人は、つい最近まで「解散総選挙は絶対にあり得ない」と言っていた。その筋の人たちでも難解な出来事なのだろう。

 安倍首相は「選挙で国民に信を問う」と繰り返し述べている。首相は、何について信を問いたいのだろう。消費税率の再引き上げの延長について国民の意見を聞きたいのなら、どの世論調査を見ても「延長に賛成」が過半数を占めている。しかも、与党と国会で対峙する野党も基本的に延期に賛同している。

 何も選挙をしなくても、多くの人々が消費税率の再引き上げ延長に賛成なことは明らかに見える。むしろ、経団連などの意見を入れて引き上げを断行するために選挙を行うのであれば、それなりに筋は通るかもしれない。

 次に考えられるのは、安倍首相の経済政策(アベノミクス)の信を問うということになるだろう。しかし安倍政権は、本当の意味でアベノミクスを実行しているのだろうか。

 景気対策としての財政出動や、黒田日銀総裁の異次元の金融緩和策は実施された。問題は、アベノミクスの本丸とも言うべき成長戦略が期待通り推進されていないことだ。まだ本格的に実行してもいない政策について、600億円以上の費用をかけて国民に信を問うのだろうか。

 まずアベノミクスを本格的に実行してみたところ、政策を遂行するのが難しいほど抵抗圧力が強いというのであれば、その時点で国民に信を問うべきだ。政策の核心である成長戦略を本格的に実行する前に国民の判断を仰ぐというのは、どう考えてもおかしい。足もとの経済状況を考えると、「そんなことをしている場合ではない」と言いたくなる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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