「逆転」で、一時は無くなったはずの今夏のエルニーニョ現象が、6月から発生していたことになるかもしれない。足元の基準値偏差動向からは定義上ぎりぎりでエルニーニョ現象が成立しそうだ。10月に続き11月前半の百貨店売上は芳しくなさそう。
消費税の悪影響は、かなり薄れたものの、エルニーニョ現象の影響もあり、天候要因が依然足枷となっているようだ。だが、12月総選挙は経験則上、景気拡張局面を示唆する。景気基調判断も早ければ1月9日に「逆転」で景気拡張局面を示す「改善」になりそうだ。

「逆転」で今年6月から
エルニーニョ現象が発生か

 今年は6月からエルニーニョ現象が発生していたことになるかもしれない。

 10月31日の日本銀行の「量的・質的金融緩和」の拡大、11月18日に安倍総理が消費税率の10%への引き上げを1年半先送りした上で、衆議院を11月21日に解散することを表明するなど、サプライズが続いているが、11月10日に気象庁が発表した「エルニーニョ監視速報」も、今夏、エルニーニョ現象が発生していたことになるかもしれないことを示唆する、以下のような、驚きの内容だった。

●東部太平洋赤道域の海面水温が再び平年より高くなり、エルニーニョ現象の状態に近づいたが、依然としてエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続いている。
●今後、平常の状態が続く可能性もあるが、冬にはエルニーニョ現象が発生している可能性がより高い。
●今後の状況により、エルニーニョ現象がこの夏から発生していたと判断する可能性もある。

 エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象だ。この現象が発生すると日本では冷夏や暖冬になりやすく景気にも影響する。

 4月10日発表の「エルニーニョ監視速報」では「夏には5年ぶりにエルニーニョ現象が発生する可能性が高い」とされた。エルニーニョ現象が発生すると経験則上、冷夏になる可能性が大きく、夏物への消費需要が鈍るなどエルニーニョ現象発生で、景気へのマイナスが懸念された。

 しかし、7月10日の「エルニーニョ監視速報」で、今夏に5年ぶりの発生が予想されていたエルニーニョ現象について「秋に発生する可能性が高い」との見通しに変わった。エルニーニョ現象は、東風が弱まって暖水の移動が滞り、ペルー沖の水面温度が高くなって発生する。6月上旬~中旬に発生した中部太平洋の水深100~200メートル付近の冷水が東に移動して、南米ペルー沖の暖水と混ざり、海水温の上昇が当初の予想より抑えられる見通しとなったため発生時期が後ズレすることになった。