ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
田中均の「世界を見る眼」

米国でも関心が高まる日本の「歴史問題」は
戦後70周年の日本外交の成否を左右するか?

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【 第39回】 2014年12月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

歴史問題に関する米紙の論説や映画の上映
慎重なハンドリングが必要となる2015年

 総選挙は自公の圧勝で終わり、安倍政権は新たな信任を得て、日本が直面する幾多の課題に取り組むこととなる。強い政権として基盤を確立した安倍政権が国益にかなう政策を確固とした決意で推進していくことを、国民は強く期待しているのだろう。

 成長政策や財政再建という国内経済課題は待ったなしであり、ハンドリングを一歩間違えば日本の信認が揺らぐことになりかねない。

 外交安保面でも首脳会談が2年半ぶりに実現し、一歩を踏み出した中国との関係や、いまだ動きがない韓国との関係、安全保障関連の法制備や普天間移設問題など、難しい課題が山積している。

 ここで、好むと好まざるとにかかわらず細心の注意を払って取り組まなければならない課題として、歴史問題がある。来年2015年は、第二次世界大戦終了後70周年にあたり、歴史問題はますます繊細となっている。安倍政権発足後の一部要人の言動に対し、中国や韓国の批判が収まることはない。

 このところ、米国での批判も強くなっている。米国内の主要紙には、「日本は歴史を書き換えようとしている」という報道も目立つ。ごく最近は、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ロサンゼルス・タイムズという主要紙がこぞって社説や論説で慰安婦問題を取り上げ、日本の政権は歴史の否定に走っていると論じている。

 そして12月25日には、女優アンジェリーナ・ジョリーが監督をした映画、『アンブロークン』(unbroken)が米国で封切りされる。これは元オリンピック陸上選手で、太平洋戦争時に日本の戦争捕虜になった人物の過酷な捕虜体験を描く映画である。筆者が先日訪れたニューヨークでは、街頭で宣伝のポスターが掲げられ、大きな話題を集めていた。日本のある団体は、「この映画はフェアでない」として、日本での上映を禁ずる署名を始めていると伝えられている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

「田中均の「世界を見る眼」」

⇒バックナンバー一覧