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安東泰志の真・金融立国論

ガバナンス改革、超円安、官製バブル……
2015年の日本の金融トピックスを考える

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第53回】 2015年1月9日
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新しい年を迎えるにあたり、年末の各新聞や雑誌上では「2015年の予測」が盛んに行われていた。そうした識者の意見もさることながら、本稿では、「金融立国論」という視点から、日本国内において注目すべきトピックスをいくつか洗い出してみたい。

投資家寄りのガバナンス改革は
金融システムにも変革をもたらすか

 日本企業のコーポレートガバナンスについて、今年間違いなく大きなインパクトを与えるのが、6月から東証の規則として導入が予定されている「コーポレートガバナンス・コード」だ。その詳細は次稿に譲るが、原案では、独立社外取締役の2名以上の選任や、政策保有株式の保有方針と議決権行使基準の策定・開示など、従来、経団連をはじめとする経済界に抵抗が強かった事項が並んでいる。

 ちなみに、コーポレートガバナンス・コードは、昨年導入された日本版スチュワードシップ・コード(連載第43回)と対をなすものと考えられている。すなわち、日本版スチュワードシップ・コードが投資家に対して企業との対話を促すのに対し、コーポレートガバナンス・コードは、企業がどのようにして「投資家の最低限の期待」を満たすのかという性格のものだからだ。すなわち、高度成長期以来、メーンバンクが経営の主導権を握りがちであった日本企業のガバナンスを、より投資家寄りのガバナンスに変化させようとするものだと言ってよい。

 たとえば、独立社外取締役が増えることは、ともすれば企業の「内部の論理」で動きがちだった取締役会に規律を与えることになる。政策保有株についての厳格な方針開示は、持合いの解消を促し、銀行による企業の経営支配を終焉に向かわせるだろう。

 もともと、債権者である銀行は、リスクをなるべく取らず、企業の成長よりも自分の貸付債権の保全を求めるのに対し、株主はある程度のリスクを許容しつつ、企業の成長による果実を求めるのであり、そこには利害相反がある。日本企業が成長を取り戻すためには、企業経営者が株主目線に立たなければならない。それは、「銀行から投資家(株主)へ」というパラダイムシフトが起きることを意味する。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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