「このままでは日本(あるいは、うちの会社)は、ますます経済(経営)が悪化し、国際的な(業界での)プレゼンスも低下する。だから、もっと働け!」というのは、大きな間違いです。国や企業が強くなるには、逆に「みんなが、もっと働かなくなり、精神的に豊かになる」必要があるのではないでしょうか。
時間あたりの生産性
――最下位の日本、ごぼう抜きで優等生になったフランス
図1は、G7(主要先進7ヵ国)の時間あたり労働生産性、つまり就業者が1時間に生みだす付加価値の推移です。2013年度は、アメリカが57ドル、フランスやドイツが51ドル、日本が36ドルです。見方を変えると、1人の就業者が100ドル稼ぎだすのに、アメリカでは1時間45分、フランスやドイツでは1時間58分、日本では2時間47分を費やしているということです。
◆図1:時間あたり労働生産性の推移
ここで過去43年間の推移を見ると、おおむね全ての国々で労働生産性は上昇しているものの、2013年度も「アメリカがトップ、日本が最下位」(参考:OECD加盟34ヵ国中では日本は20位)という構図は変わりません。また、注目されるのはフランスです。70年の時点では18ドルと日本の11ドルに次いで低かったのが、その後他国をごぼう抜きし、85年以降は2位の座を確保しています。誠にしたたかです。