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田中均の「世界を見る眼」

2015年、課題山積の国際関係を見極める7つのテーマ

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第40回】 2015年1月21日
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7つのテーマで見極めよ
2015年、課題山積の国際関係

 2015年は国際関係、なかんずく日本を巡る情勢が一層複雑となっていく。特にここで述べる7つの課題については、推移を慎重に見極めていくことが重要である。

(1)テロによる「言論の自由」抑圧の深刻
成熟した社会として考えるべきこと

 1月7日に発生したパリのテロ事件は、本年の国際関係の不吉な前兆ともいうべき事件であった。

 風刺漫画で名高い「シャルリー・エブト」本社がイスラム過激主義者の襲撃を受け、編集者や漫画家など12名の人々が命を落とした。この事件に対しフランス全土で370万人、パリだけでも160万人と言われるデモ行進が行われ、オランド大統領をはじめとする欧州諸国首脳は、その先頭に立った。

 本来、テロはいかなる理由があっても糾弾されるべきであるが、仏での大規模なデモ行進の背景には、この事件が民主主義の根幹たる言論の自由に対する挑戦と受け止められていることがある。

 言論の自由との関連では、金正恩第一書記を侮辱したとして、北朝鮮がソニー・エンタテインメントへのサイバーテロ攻撃を行った事件や、産経新聞ソウル支局長が韓国大統領の名誉を棄損したとして出国が止められている事件などについても、種々の議論がある。

 本来「言論の自由」は、権力による言論の封殺から個人を守る権利であろうと思う。したがって、国家権力や暴力によって言論が封殺されてしまうようなことは、いかなる場合でもあってはならない。一方、「言論の自由」の名の下、国家元首や宗教指導者の名誉を著しく損なうような言動を、どう捉えるべきなのだろう。

 「言論の自由」は何を言ってもよいということではなく、言論の節度を守るという義務も付随している。民主主義国家では、言論が特定人の名誉を棄損する場合や国家機密を漏らすような言動は、法的な手続きによって処罰がされる。

 ただ、社会の道義として節度を求めることも、成熟した社会では重要だろう。最近の日本でのヘイトスピーチや、中国や韓国を著しく貶める言動に対しては、まず社会が良識を示し、批判をしていくべきものだろう。

(2)戦後70周年の日本の外交課題
安倍政権の対応いかんで明暗分かれる

 2015年は戦後70周年および日韓基本条約締結50周年であり、安倍政権の取り組みいかんでは、近隣諸国との関係だけではなく日米関係が冷え込む可能性がある。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


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西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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