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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

意味のない量的緩和で日本を追う欧州中銀
ユーロ安・円高が進む可能性が高い

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第10回】 2015年1月29日
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 1月22日、欧州中央銀行(ECB)が初の量的金融緩和を決定した。

 これを受けて、日米欧の株価が上昇した。ユーロ圏の経済状況が好転するとの期待による。果たしてそうした効果が生じるのだろうか? 以下では、量的金融緩和によって、(1)ユーロの対ドル相場を下落させる効果があること。(2)ユーロの対円相場も下落させる(円高になる)可能性もあることを指摘しよう。

ECBの資産残高を
12年水準まで戻す

 今回の決定の内容は、つぎのとおりだ。国債を含めて少なくとも1兆1000億ユーロ(約148兆円)の資産を購入する。ドラギ総裁によると、月600億ユーロ(約8兆円)の資産購入を行なう。これは、事前に市場で予想されていた500億ユーロを上回るものだ。追加購入分の80%は域内の各国中央銀行の責任で行なわれ、損失の発生に対しては各国中銀が負担する。

 緩和の実施期間は当面2016年9月までとしたが、物価上昇率目標2%の達成が見通せるまでは期間以降も緩和を続けるとした。

 この決定を受けて、日米欧の株価が上昇した。日本では、日経平均株価が1万7500円を回復し、今年初めて昨年末終値(1万7450円)を上回った。

 ECBの資産残高のこれまでの推移は、図表1のとおりだ。12年には3兆ユーロ程度あったが、その後減少し、14年には2兆ユーロ程度になっていた。ECBの今回の決定は、これを12年頃の水準まで戻すことが目的だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 緊急連載・アベノミクス最後の博打

アベノミクスのメカニズムは、「金融緩和を行なう」という宣言によって、円安への投機を煽ることだ。円安によって輸出産業は潤うが、実体経済は改善していない。実際は、円安が経済成長率を抑えている。これは、アベノミクスの基本が間違っていることを示している。

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